支援レポート Vol.15
「障害者の福祉向上に寄与する」サービスを「省エネ診断」で
千年園は平成4年に開所した障害者支援施設です。入所者と生活介護者を含めて利用者は約110名、部屋数31室、職員数は46名の小規模施設です。施設の理念として“私たちは、一人ひとりの人権を尊重し、障害者福祉の向上に務めます”を掲げています。
千年園の障害者の方々の日常に、快適な住環境の確保は欠かせません。千年園では居住性を維持しつつ、照明の不要時消灯や、空調不使用期間のクランクケースヒータ電源断などの細かい運用改善を徹底する一方で、照明のLED化も進めるなど、省エネ対策に積極的に取り組んできました。今回は、居住性の快適さを確保しつつ、さらに施設全体での省エネを進めるため、専門家から具体的な省エネ施策の提案と省エネ活動へのアドバイスが受けられるということで、省エネ診断を受診しました。
千年園は平成25年度に「もったいない・あおもり賞」を受賞し、また、青森県のオフィス町内会へ入会し、毎年ノーマイカー運動に参加するなどの活動を継続してきました。運用改善面ではすでに各種の対策が実施されており、現場視察をしたエネルギー使用合理化専門員からも高い評価を受けています。このため、運用改善面での提案は、通常では気が付きにくい「床暖房の一部夜間停止」の1件のみでした。設備投資を必要とする改善策は、投資額が少なくて済む「トイレへの擬音装置の設置」から、投資の大きい「空調機の高効率化」まで、5件が提案されました。
NO | 提案内容 | ||
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1 | 運用改善 | 空調設備 | 床暖房の一部夜間停止 |
2 | 投資改善 | 空調設備 | 空調機の高効率化 |
3 | 投資改善 | 衛生設備 | トイレに擬音装置を設置 |
4 | 投資改善 | 照明 | 誘導灯のLED化 |
5 | 投資改善 | 変圧器 | 変圧器の高効率化 |
6 | 投資改善 | デマンド管理 | デマンド監視装置導入による最大電力の低減 |
夜間不在となる事務室だけは、24時間の床暖房は不要
入所者は施設内で生活していますから、冬期の床暖房も当たり前のように24時間運転していました。今回、事務室は夜間無人となるため夜間の暖房は不要という指摘を受け、びっくりしました。早速、夕方退所時に事務室の温水配管のバルブを閉鎖し、翌朝始業前に当直員が開放することを徹底しました。
投資提案も、補助金等を活用して順次実施
診断の半年後に、青森県省エネ型事業モデル創出事業から補助を受け、空調機の更新や誘導灯のLED化等を実施しました。
診断の半年後に、青森県省エネ型事業モデル創出事業から補助を受け、空調機の更新や誘導灯のLED化等を実施しました。診断受診前後の電力使用量削減の成果を下図に示しました。診断を受診したH25年は、H24年に比べて大幅に低減されています。これは、診断前に実施した照明のLED化と、診断提案案件を実施した成果です。また、H26年度はリハビリ棟を増設し床面積が1814m2→2,243 m2へと増床したため、電力使用量は若干増えましたが、床面積当たりのエネルギー消費原単位は低減しています。
省エネから笑顔の笑エネ活動へ
本施設では、障害を持った方々への支援サービスの質を高め、生活の質(QOL)の向上を図っていくため、空調や自動販売機の増設や家電の持込などを検討しています。省エネは、それを実現する手段であり、今後も、設備の計画的な更新に加え、設備運用の効率化や業務効率化などを職員と共に「省エネ→笑(笑顔)エネ」をモットーに進めていきたいと話してくれました。