支援レポート Vol.13
省エネ診断に続き、
2年後にコンプレッサのチューニング診断を受診
一連の改善策で20台のエアコンプレッサのうち5台の停止が可能に
北見木材の操業は昭和25年。ピアノ木製部材等(響板・鍵盤など)を中心とした楽器部材、一般建築材、集成材、木工工芸品の製造・販売を行っています。製造工程では、製材、乾燥、木取り、接着などの加工工程があり、高度な技術が要求されます。
北見木材では、平成25年度から環境ISO14001の取得を目指して活動を開始。その一環として省エネに取り組み始めましたが、当初は電気スイッチをこまめに切るなどの活動しか思い浮かばず、暗中模索の状態だったといいます。そんな折、親会社であるヤマハ㈱の環境部門からの情報で、専門家の省エネ診断が無料で受けられることを知り、すぐに申し込みをされました。
エネルギー使用合理化専門員による現場視察とエネルギー使用状況の分析、現場でのヒアリング等の診断の結果、コンプレッサの吐出圧力の低減や蒸気配管の保温対策、高効率照明、高効率変圧器への更新など、以下の4件の対策が提案されました。
NO | 提案内容 | ||
---|---|---|---|
1 | 運用改善 | コンプレッサ | 吐出圧力の低減 |
2 | 投資改善 | 蒸気配管 | 蒸気配管の保温対策強化 |
3 | 投資改善 | 照明 | 高効率照明への更新 |
4 | 投資改善 | 変圧器 | 高効率変圧器への更新 |
省エネ診断で提案された「コンプレッサの吐出圧低減」に取り組もうとしたものの、20台あるコンプレッサはそれぞれ稼働状況が異なり、社内での調整・改善の実行は難しい状況でした。そこで、省エネ診断のフォローアップとして実施している「チューニング診断」を活用し、省エネ対策を進めることになりました。
チューニング診断とは、運用改善対策の中でも、測定や調整を伴う多少難易度が高い対策の実行を専門家が支援するというものです。具体的な診断手順は、計画策定→計測機器設置→計測データに基づくチューニング実施(設定変更と確認)→チューニング後のデータ収集→計測器撤去→効果算定・診断報告書作成→結果説明会という流れです。
まず、20台のコンプレッサのうち、代表的な3台(各15kW、吐出圧力0.69MPa)を対象機器として選び、計測機器を設置しコンプレッサ吐出圧力、配管系末端圧力、コンプレッサ電力等の計測を行いました。計測データから、2台については現在の圧力に余裕があり、吐出圧力を0.59MPaに低減しても問題がないことが確認できました。また、間欠的なエアブロー作業を含む1台については、エアブロー時に瞬間的に大きな圧力低下が発生していることが判明し、吐出圧の低減には、エアブローの配管系統分離などの対策が必要という結論になりました。
チューニング診断により吐出圧を低減した2台の電力削減率は7.5%と5.0%となり、年間10万円程度のコスト削減につながりました。
コンプレッサは吐出圧低減に加え20台のうち5台の停止が実現
コンプレッサについては、チューニング診断による吐出圧低減の実行に加え、系統の合理化などで、20台のうち5台を停止することが可能となり、省エネが実現しています。
受電設備や工場内外の照明は提案通り高効率型に更新
診断後の2年間で、受電設備や工場内外の照明を高効率型に更新しました。また、照明に関しては、不要な照明を確実に手元で消灯できるよう、プルスイッチを256箇所に設置するなど、徹底した省エネを図っています。このプルスイッチの設置は、従業員の省エネ行動を誘発するのにも役立っています。
蒸気配管、バルブ類の保温を計画的に実施、燃料使用量を前年比7%削減
診断の提案に基づいて、ボイラの蒸気配管並びにバルブ類の保温施工を計画的に実施・継続してきました。この結果、ボイラの燃料使用量は対前年比7%強の低減しました。
今後の省エネ活動の方法性が明らかに
省エネ診断とチューニング診断を通じ、省エネに実際に取り組み、その結果を確認していくという一連の流れを経験したことで、今後どのように省エネに取り組んでいけばよいか、その方向性がつかめたといいます。
提案施策になかった照明プルスイッチの設置など自主的な改善も実施し、従業員の省エネ意識・行動のレベルアップにも役立っているそうです。