「環境と医療は切り離して考えることのできない問題」という認識に立ち、長年に渡って環境活動を続けて来られた河北医療財団。
河北リハビリテーション病院においても、開設時よりコージェネレーションシステムの導入や屋上緑化を実践、2008年にISO14001環境マネジメントシステムから切り換え、KES環境マネジメントシステム スタンダードステップ2認証を取得するなど、環境重視の姿勢は一貫しているものの、「自分たちだけで考える省エネ」に関しては、必ずしも満足されていない面があったとのこと。
そんな折、KES審査員様からのご紹介で、診断をお申込みいただきました。
そこには「患者さんを最優先」する病院特有の事情がありました。
診断者は、一瞬だけ目立って突出している電力消費の記録を発見。そのため、契約電力量が高くなってしまっていることを指摘しました。既に、デマンド(最大需要電力)コントロールシステムを導入済みのはずなのに、これは、どうした訳でしょうか?
「記録的な猛暑日でした。当院の空調温度は、基本的に、一人ひとりの患者さんが、自分の体調や気分に合わせて設定されるべきものです。消費電力量が一時的に大きくなっているからと言って、病院サイドで一律にコントロールして良いものではありません」手塚様の言葉には、使命感に裏打ちされた重みがありました。
スタッフのためのスペースや事務所も入念に調査。
診断者は、屋上に設置されたエアコンの室外機を調査中、効率の低い旧タイプの冷媒が使われていることを確認。太陽光発電導入の可能性も示唆しました。ただし、エネルギー関連設備の設置場所を除き、屋上は基本的に、患者さんのリハビリテーション訓練と、憩いのためのスペースです。また、新しいエネルギーシステムへの投資回収は、どれぐらいの期間で可能かという難しい問題もあります。
多様な視点から、具体的な方策が提示されます。
既に最新の省エネに取り組んでおられた河北リハビリテーション病院ですが、専門家である診断者の目は、さらに一歩進んだ省エネの可能性を、多角的に捉えていました。
また、「検討はしているが、費用対効果に関する正確なデータが得られないため、導入に踏み切れないでいる」施策があったことも明らかにされるなど、同じ目標を見据える診断者と受診者の間で、本音の意見交換が行われました。
一旦、調査で気づいたことや、様々なアプローチの可能性をご指摘した後、数値的なデータをもとにシミュレーションを行います。
約1カ月お時間をいただき、次回は、河北リハビリテーション病院に合った省エネ施策の詳細をご提案させていただきます。