省エネ・節電ポータル

省エネ支援現場レポート

支援レポート Vol.7

  • 省エネ診断
  • 化学

株式会社モミモ

「有効な経営ツール」として、取り組んできた省エネ。
受診をきっかけに、改善をスピードアップ!

株式会社モミモ(関東・自動車用プラスチック部品の製造)

株式会社モミモは昭和24年、籾茂絹織株式会社として設立。昭和52年、企業の安定化と業容の拡大を図り、新たに電機部門・樹脂部門を設ける。現在は樹脂部門を基幹として、自動車部品の製造・組み立てを行っています。

受診までの経緯

売り上げに対するエネルギーコストの割合が高いプラスチック製造業。
改善のための地道な取り組みと、更なる省エネへの挑戦。

プラスチック製品製造業では、一般にエネルギー使用コストが売上高に対して高い傾向があります。また、製品の納入先である自動車業界は、環境問題への取り組みに力を入れています。モミモでは、十数年前から省エネを「有効な経営ツール」と捉え、インバータ式コンプレッサの導入、ポンプ・ファンモータのインバータ化、成形機の更新、空調機の更新などの省エネ設備の導入を進めるとともに、工場の屋根への断熱塗装やグリーンカーテンの設置によって空調コストの低減を図るなどさまざまな取組を進めてきました。今回の省エネ診断は、改めて客観的に、業界における自社の省エネ活動のレベルを知り、専門家からのアドバイスを新たな活動に結びつけ、更なる省エネ活動に挑戦するための受診でした。

診断結果と専門家からの提案

ほぼ業界標準レベルだった、エネルギーコストの割合。
生産現場を細かくチェックするプロの目が、改善への糸口を発見。

モミモの売上高に対するエネルギー使用コストの割合は、ほぼ業界標準レベルです。担当のエネルギー合理化専門員は、現場視察の段階で生産設備の一つひとつを細かくチェックし、必要以上に高く設定されていたコンプレッサの吐出圧力を見直すこと、金型の保温対策など、改善するべきポイントを発見。
改善効果のシミュレーションを経て、約1ヵ月後の診断結果報告会では、運用改善4件、投資改善6件、計10件の施策が提案されました。

提案全体の効果

NO提案内容
1運用改善冷却設備冷却塔の冷却水戻り設定温度を月ごとに変更
2運用改善コンプレッサインバータ機と非インバータ機の運用方法改善
3運用改善コンプレッサ吐出圧力提言、エア漏れ対策
4運用改善生産設備射出成形機の金型の放熱低減対策
5投資改善空調設備工場全体空調方式のスポット空調化
6投資改善空調設備全熱交換器の導入
7投資改善生産設備油冷却装置の更新、インバータ化
8投資改善照明天井蛍光灯のLED化
9投資改善受変電設備変圧器の容量削減更新
10投資改善デマンド管理変圧器の容量アップ更新

取り組みの成果とこれから

更なる削減への挑戦
改善活動のスピードアップ

省エネ診断により、業界における位置付けがはっきりし、省エネの新たな視点も得られた今、更なる高みを目指し活動中です。

少コストで改善できたコンプレッサ・成形機周り

診断を受けて、まず実施したのはコンプレッサ周りの省エネ。設備毎の必要圧力を調査し、局所的に高い圧力が必要な設備にはブースタべビコンを設置、圧力損失が大きい配管は配管径を太くし、工場全体の圧力を低減しました。
更にエア漏れを削減し、インバータ機を可変運転することも合わせて実施しました。
また、3年計画で進めていた天井照明のLED化を、提案を受けて前倒し採用。器具ごとに紐スイッチを設置することで、個別に点灯/消灯することもできるようにし、不要な場所が照らされてしまう無駄をなくしました。

金型温調機

細やかな施策の水平展開により、トータルで大きな効果。

各部分の小さな省エネが、トータルで大きな効果を発揮する例として冷却装置のインバータがあげられます。付帯設備(温調機)のポンプモーターを、流量調整弁タイプからインバータに変更することによる節電効果は、1台あたり0.362W/hと決して大きくありませんが、28台の金型温調機に水平展開することで、大きな効果が得られました。

改善前 ポンプモータの消費電力 0.939kw/h

改善後 ポンプモータの消費電力 0.577kw/h

(効果:▲0.362w/h)

「環境活動」を「経営ツール」として実施すること。

今回の省エネ診断によって得られたメリットについて、以下の4点をあげました。

  1. 1.業界における自社の省エネ活動レベルの位置づけが把握できたこと。
  2. 2.具体的な提案・アドバイスをもらい、新たな省エネを実施できたこと。
  3. 3.診断をきっかけに、計画していた改善施策を前倒しできたこと。
  4. 4.省エネへの取り組みを通じ、従業員一人ひとりのモチベーションが確実に向上したこと。

また、今後の活動方針として、「持続可能な社会の実現に向けて全力を尽くす」、モノを作る上で「最小限のINPUTで最大限のOUTPUTを上げる」という二点を強調されました。環境活動を経営ツールとして実施しPDCAを回していくことが、社会にとっても自社にとってもメリットとなる。そんな確かな感触を得られたようです。