省エネ・節電ポータル

省エネ支援現場レポート

支援レポート Vol.1-1

  • 省エネ診断
  • 工場

調査編栃木市・ひかり工業
株式会社(製造業)

「生産性と従業員の作業環境」を優先しつつ、
何とかコスト削減を図りたい。

ひかり工業株式会社
(栃木市・電気亜鉛めっき加工全般)

昭和24年に創業以来、培われたノウハウと「品質・納期・サービス」にこだわり、お客様に高付加価値を提供している。

環境配慮はもちろん、省エネについても高い意識をお持ちのひかり工業は、既にデマンド(最大需要電力)監視・制御システムを導入済みですが、有効に活かせていない状況。しかし、生産性を維持しつつ、社内だけで更なる省エネを達成することに、限界を感じておられたようです。
そんな折、お取引先企業様から省エネ診断のご紹介があり、お申込みいただきました。

ヒアリングを通じて見えてきた、2つのアプローチ。
「契約電力を抑える」こと。「夜間・休日の無駄を抑える」こと。
7月11日朝、診断のため、それぞれ電気と熱を専門とする2名の診断者が到着。さっそくヒアリングが始まりました。申込書の内容を確認後、現場視察が行われ、本格的なヒアリングへ。
ひかり工業が描く基本的なプランは、「電気代が上がる分、デマンド・コントロールで契約電力量を低く抑え、コストを削減」すること。これに対し診断者は、様々なデータをチェックする中、夜間・休日の電力消費量が大きいことに着目。提示されたのは、操業時間外の無駄な運転を抑えるという、デマンド管理とは全く異なる視点でのアプローチでした。
ボイラー、コンプレッサー、ヒーター‥。
一つひとつの設備についても入念に診断。
昼食を挟んで、さらに詳細な現場調査へ。寺内様立会いの下、診断者の目が、一つひとつの設備を細かく追っていきます。
「これも24時間同じペースで稼動ですか?」「休日はペースを落としても問題ないですよね?」考えられるアイデアは実現可能か、入念な確認が行われます。
使い込まれたボイラーをはじめ、コンプレッサー、ヒーターなどの設備を最新型のものと入れ替えることからも効率アップが見込めます。
同時に、診断者の頭にあったのは、各機器ごとの消費電力チェックと徹底したデータ管理による、一歩踏み込んだ「見える化」でした。
詳細な現場調査を経て、調査のまとめ。
診断者から、具体的な方策が提示されます。
現場チェックの後は、さらに踏み込んだ打合せです。中井専門員は、原単位(売上げに対するエネルギー使用量の割合)が高いことを指摘。
具体的な改善策も、次々に提示されました。設備の刷新による効率アップ、操業時間外の省エネ、人のいない空間に消費電力の大きい水銀灯が灯っているなど、意識の持ち方一つで改善可能なポイントもありました。
さらには、真夏でも16℃前後という井戸水を循環させ工場のスポット冷却に活かそうというアイデアも・・・。

一旦、調査で感じたことをご指摘した後、今回いただいた数値的データをもとにシミュレーションを行います。
約1ヵ月程お時間をいただき、次回は、ひかり工業に合った省エネルギー施策の詳細をご提案させていただきます。

当日のタイムスケジュール

診断者の目

省エネルギーセンター
エネルギー使用合理化専門員

中井 嘉一郎

工場ごとに異なる「削減できる部分」を見極める。

たとえ同業であっても、生産ラインのレイアウトや稼動のスタイルは、工場ごとに違います。まずは現場を確認し、その工場に合った、実行可能な省エネ施策をご提案できなければ意味がありません。私が、まず「現場の視察」から始めるのは、このためです。
ひかり工業の場合、電気が欠かせない「電気亜鉛めっき」の工場であり、洗浄からメッキまでの各工程で用いられる様々な液体は、それぞれ適正温度が異なります。
意識の高いお客様だからこそ、気づかれていないポイントを指摘して差し上げることが大切です。

提案候補への気付き点

  • ◆付加価値を生まない夜間・休日(75kw)の電力使用量の抑制(ヒータ利用条件見直しなど)
  • ◆ボイラーなどの設備を効率の良いタイプに更新
  • ◆コンプレッサの稼働条件の見直し(吐出圧力の低減)
  • ◆排風機へのインバータ導入
  • ◆冷房への井戸水(夏期16℃前後)の利用
  • ◆機器ごとの電力使用量チェックとデータ管理(見える化)の徹底

受診者の声

ひかり工業株式会社

寺内 正雄

ご指摘いただいて初めて気づくことが多かった。
1ヵ月後のご提案が楽しみです。

弊社の工場では、デマンド監視・制御システムを導入し、工場全体での使用電力については管理を始めていましたが、どの部分でどれだけ電力を消費しているのか、内訳の詳細までは把握できていなかったのが現状です。ヒーターの利用法など、先輩たちから重要なノウハウを受け継いでいく中で、省エネの観点からの細かいことは不問にされて来た部分も多々あり、個人でできることには限界を感じていました。
今日は、自分では気づかなかった部分をプロの視点からご指摘いただき、たいへん勉強になりました。
1ヵ月後にいただけるレポートを楽しみにしています。