株式会社井戸太蒲團店様におけるエネルギー使用割合は電力が24%、燃料が76%です。電力では空調設備、照明設備、コンプレッサなど、また、燃料では蒸気ボイラ、乾燥機などが消費の多い設備です。社内トップの方の省エネに対する関心が高く、これまでに、井戸水利用の空調設備、蒸気ドレン回収、フラッシュタンクの設置、温水排熱回収等の省エネに取り組まれています。今回の診断では、蒸気ボイラに係わる蒸気配管・バルブの保温、ドレン回収方法の変更、ボイラ運転台数の削減、蒸気圧力の低減などを、また電力では、コンプレッサ吐出圧力の低減、照明の高効率化、水銀灯の消灯等をご提案しました。
内訳 | 電気 (千kWh/年) |
都市ガス (千m3年) |
上水 (千m3/年) |
井水 (千m3/年) |
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改善前 | 814 | 563 | 77 | 93 |
改善後 | 798 | 540 | 77 | 93 |
提案1
ボイラ
南工場の蒸気ボイラの運転台数の削減
省エネ効果 | 9.0kL/年 |
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削減金額 | 680千円/年 |
設備概要 | 蒸気ボイラ (蒸発量1.2t/h×3台) |
キーワード
運転台数の削減
内容
南工場に蒸気ボイラ3台が設置され台数制御で管理されている。ボイラの負荷率は65%であるが、3台中1台を停止して負荷率を98%に高めて運用効率を改善し、燃料(都市ガス)使用量を削減することを提案。
提案2
照明
昼間の水銀灯の消灯
省エネ効果 | 1.3kL/年 |
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削減金額 | 85千円/年 |
設備概要 | 水銀灯 (400W×5台) |
キーワード
不要照明の消灯(昼休み時の消灯)
内容
北工場のタオル仕上げ場、私物仕上げ場には、天井に水銀灯が設置されている。更に手元照明もあることから、昼間明るい時は、水銀灯を消灯して電力消費量を削減することを提案。
提案3
ボイラ
南工場蒸気ボイラの蒸気圧力低減
省エネ効果 | 0.9kL/年 |
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削減金額 | 67千円/年 |
設備概要 | 蒸気ボイラ (蒸発量1.2t/h×3台) |
キーワード
蒸気圧力の適正化
内容
南工場の蒸気ボイラの蒸気圧力は0.8MPaで運転されているが、蒸気使用設備の必要圧力は0.6MPaであるため減圧して使用している。蒸気圧力を下げると飽和蒸気のエンタルピーが下がるのでボイラ燃料が削減できる。0.1MPa程度下げても運用可能なので、0.7MPaとして燃料(都市ガス)使用量を削減することを提案。
提案4
コンプレッサ
吐出圧力の低減
省エネ効果 | 0.9kL/年 |
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削減金額 | 63千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ (22kW×1台) |
キーワード
吐出圧力の低減
内容
北工場には、コンプレッサが設置され吐出圧力0.76MPaで運転されている。このエアの使用側の必要圧力は0.5MPaである。配管などの圧力損失を考慮に入れても現状の吐出圧力は高いため、吐出圧力を0.66MPaに低減して、圧縮機の軸動力を下げ電力消費量を削減することを提案。
提案5
換気設備
換気ファンの停止
省エネ効果 | 0.1kL/年 |
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削減金額 | 10千円/年 |
設備概要 | ー |
キーワード
運転時間の短縮
内容
事務室の換気ファン2台が連続運転している。このため空調負荷の増大となっている。事務室は禁煙であり、また、出入口扉の開閉頻度が高いことから換気量は十分あると思われるので、換気ファンを停止して空調負荷の低減を図り、電力消費量を削減することを提案。
提案6
空調設備
冷房設定温度の適正化
省エネ効果 | 0.1kL/年 |
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削減金額 | 6千円/年 |
設備概要 | 空調機 (4.2kW×1台) |
キーワード
設定温度の適正化
内容
事務室には空調機1台が設置されている。現状の冷房設定温度は25℃である。設定温度を緩和すると室内外の温度差が小さくなるので、熱負荷、壁・窓・開口等の熱損失が小さくなる。そこで2℃緩和し27℃として電力消費量を削減することを提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。
提案7
ボイラ
蒸気配管、バルブの保温対策
省エネ効果 | 11.1kL/年 |
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削減金額 | 837千円/年 |
設備投資額 | 1,450千円(回収1.7年) |
設備概要 | 配管、バルブ、フランジ |
キーワード
保温対策
内容
①北工場の蒸気ボイラは、蒸気圧力0.65MPa、168℃の蒸気を送っている。未保温箇所として配管、バルブ、フランジ等がある。②南工場の蒸気ボイラは、蒸気圧力0.8MPa、175℃の蒸気を送っている。未保温箇所は、配管、バルブ、フランジ等と配管の保温材の脱落箇所がある。これ等の未保温箇所から放熱しているため、グラスウール厚さ40mmで保温し放熱を防止、ボイラ燃料(都市ガス)を削減することを提案。
提案8
蒸気配管
北工場の蒸気ドレンの回収方法の変更
省エネ効果 | 5.2kL/年 |
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削減金額 | 395千円/年 |
設備投資額 | 1,490千円(回収3.8年) |
設備概要 | カレンダーロール機 (ドレン量:500kg/h×2台) |
キーワード
蒸気ドレンの回収
内容
北工場のカレンダーロール機(2機)からの蒸気ドレンは、温度が100℃以上あるため、回収タンクに回収し、井水で40℃程度に調整して再利用している。その一部はボイラへ回収利用しているが、ボイラ給水温度としては低い。一方、南工場では蒸気ドレンを再フラッシュさせて低圧蒸気(0.2MPa)として連続洗濯機で使用している。このことから北工場もこの方式に変更してボイラ燃料を削減することを提案。
提案9
照明
水銀灯をセラミックメタルハライドランプに交換
省エネ効果 | 0.6kL/年 |
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削減金額 | 41千円/年 |
設備投資額 | 80千円(回収2.0年) |
設備概要 | 水銀灯(400W×6台)<br /> →セラミックメタルハライドランプ(360W×4台) |
キーワード
高効率照明への更新
内容
洗濯場入口、2F仕上げ室に水銀灯が使用されているが、消費電力が大きい。光束が大きく、ランプ効率の高いセラミックメタルハライドランプに交換して電力消費量を削減することを提案。なお、安定器とセード(反射笠)は流用しランプのみ交換。
提案10
デマンド管理
デマンドレコーダの導入によるムダの排除
省エネ効果 | 1.0kL/年 |
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削減金額 | 71千円/年 |
設備投資額 | 70千円(回収1.0年) |
設備概要 | デマンドレコーダ |
キーワード
(その他)デマンドレコーダの導入
内容
現在、電力の日負荷データが測定・把握されていない。電力の日負荷データを測定し分析することにより①最大電力の大きさや発生時刻などが判る。②また休日・夜間の電力使用実態などが判る。①、②を把握・分析することにより省エネポイントを抽出してムダを排除する。このためデマンドレコーダを導入して電力消費量を削減することを提案。なお、年間電力使用量の1割を削減できるとして試算。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。