株式会社みうら食品様では、山形県工業技術センターの電力等測定事業を活用し、電力の見える化に取り組むほか、不要照明の消灯などの運用改善に加え、高効率照明の導入などを実施されています。今回、省エネ推進を行うための体制整備・PDCAや計測や、分析についての具体的な方法へのアドバイスを受けることを目的に受診されました。現状のエネルギー消費は、熱量比率でみると、電力が47%、燃料が53%であり、エアコンプレッサの吐出圧低減、給排気ファンへのインバータ導入など電力関連と、ボイラの空気比・蒸気圧低減、蒸気配管・バルブの保温など燃料関連の省エネをご提案しました。
内訳 | 電気 (千kWh/年) |
LPG (千kg/年) |
A重油 (kL/年) |
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改善前 | 350 | 9.2 | 90 |
改善後 | 287 | 9.2 | 82 |
提案1
ボイラ
蒸気ボイラの空気比低減
省エネ効果 | 2.1kL/年 |
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削減金額 | 162千円/年 |
設備概要 | ボイラ(500kg/h×1台、750kg/h×1台) |
キーワード
空気比の適正化
内容
現状のボイラ(年間燃料消費量は90kL)の排ガス酸素濃度は7.9%(空気比として1.6)であり、省エネ法の判断基準による基準空気比に比べ高い。空気比を1.3まで適正化することで2.3%の省エネが図られることから、空気比調整により燃料消費量を削減することを提案。
提案2
コンプレッサ
エアコンプレッサ吐出圧力低下
省エネ効果 | 0.9kL/年 |
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削減金額 | 75千円/年 |
設備概要 | エアコンプレッサ(11kW×1台) |
キーワード
吐出圧力の低減
内容
コンプレッサ(定格容量1.0kW)から0.85MPa-Gの吐出圧力で供給されているが、需要先では減圧弁で減圧後、使用している。そこで、吐出圧力を0.6MPa-Gまで0.25MPaだけ下げ、電力消費量を削減することを提案。
提案3
ボイラ
蒸気元圧力の低下
省エネ効果 | 0.7kL/年 |
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削減金額 | 52千円/年 |
設備概要 | ボイラ(500kg/h×1台、750kg/h×1台) |
キーワード
蒸気圧力の適正化
内容
蒸気は0.75MPa-Gで製造されているが、蒸気の使用は乾麺製造用の空調用熱源が主であるため、0.40MP-G以下でも十分ある。そこで、ボイラでの製造圧を0.35MPaだけ下げ、燃料消費量を削減することを提案。(試算は蒸気温度の違いによる放熱量の差として実施)
提案4
コンプレッサ
エア配管の漏れ防止
省エネ効果 | 0.1kL/年 |
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削減金額 | 13千円/年 |
設備概要 | エアコンプレッサ(11kW×1台) |
キーワード
圧力損失の低減、エア漏れ対策
内容
コンプレッサ(11kW×1台)が稼動しているが、空気配管からの漏れは検知しにくかったり、漏れ量が分かりにくいが、コンプレッサ動力の損失が意外に大きい。そこで、一般的な工場での漏れ率を適用し、漏れ対策により電力使用量の削減を提案。(現状の漏れ率10%→対策後の漏れ率2%、コンプレッサの年間電力消費量19千kWh)
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。
提案5
乾燥炉
乾麺乾燥用空調機の給排気ファンのインバータ導入
省エネ効果 | 14.9kL/年 |
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削減金額 | 1,268千円/年 |
設備投資額 | 1,460千円(回収1.2年) |
設備概要 | 乾燥用給排気ファン(11,7.5,5.5,3.7kW×各2台) |
キーワード
インバータの導入
内容
4組ある乾燥用空調機の給排気ファン(合計定格容量55.4kW)はダンパー開度を調整し、概ね85%の風量で使用しているが過剰なようである。給排気ファンをインバータ化して、電力消費量を削減することを提案。
提案6
蒸気配管
蒸気配管・バルブの保温
省エネ効果 | 3.2kL/年 |
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削減金額 | 241千円/年 |
設備投資額 | 580千円(回収2.4年) |
設備概要 | 蒸気配管 |
キーワード
保温対策
内容
現状、温水配管(温度は170℃)のバルブ、フランジと配管の一部に保温がされていない。バルブと配管に40mmの保温を施工することで、蒸気配管・バルブ表面からの熱放散を年間で110GJ削減し、燃料消費量を削減することを提案。
提案7
蒸気配管
蒸気トラップの管理
省エネ効果 | 2.0kL/年 |
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削減金額 | 153千円/年 |
設備投資額 | 210千円(回収1.4年) |
設備概要 | 蒸気配管 |
キーワード
その他(蒸気トラップ)
内容
蒸気トラップの不良に起因すると思われる、蒸気の軽度の漏えい(蒸気量で4kg/h程度)が3か所で見られる。定期的に保守・保全を行うことで、燃料消費量を削減することを提案。
提案8
デマンド管理
デマンド監視制御装置導入
省エネ効果 | ― |
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削減金額 | 77千円/年 |
設備投資額 | 400千円(回収5.2年) |
設備概要 | デマンド監視制御装置 |
キーワード
デマンド監視制御装置の導入(電気使用量の見える化装置の導入を含む)
内容
デマンド監視制御装置を導入してピーク電力を監視し、設定値に近づいた場合には予め定めた機器を停止することによりピーク電力を抑制し、契約電力を低減(300kW→294kW)することを提案。
提案9
生産設備
配管ヒーター比例制御の導入
省エネ効果 | 0.3kL/年 |
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削減金額 | 23千円/年 |
設備投資額 | 70千円(回収3.0年) |
設備概要 | 配管ヒーター(70W×10本) |
キーワード
その他(配管ヒーター制御)
内容
配管の凍結防止用にヒーターが設置されている(70W電熱線ヒーター×10本)。現状では外気条件に拘わらず通電状態となっているため、比例制御を導入し、電力消費量の削減を提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。