株式会社テザックワイヤロープ 二色浜製作所様では、省エネ法の特定事業者として日々、省エネに取り組んでいます。具体的な活動として、高効率コンプレッサの導入、蒸気配管の保温や生産設備のインバータ化などの設備改善に加え、槽ごとの工水管理による蒸気使用量の削減、空調設定温度の緩和、不要時消灯などが実施されています。今回、更なる省エネ対策の発見と実施を目的に受診されました。診断の結果、照明の高効率化、ポンプ仕様の適正化や契約電力の見直しなど電力関連と、ボイラ稼働台数変更や槽への蓋取付など燃料関連の省エネをご提案しました。
内訳 | 電気 (千kWh/年) |
都市ガス (千m3/年) |
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改善前 | 13,000 | 370 |
改善後 | 11,898 | 287 |
提案1
デマンド管理
現状負荷に見合った契約電力の削減
省エネ効果 | ― |
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削減金額 | 7,742千円/年 |
設備概要 | デマンド管理 |
キーワード
デマンド監視制御装置の活用(日負荷線図の活用を含む)
内容
現状の最大電力(3,740kW)と契約電力(4,200kW)に乖離があることから、デマンド監視装置を活用してピーク電力を監視し、設定値に近づいた場合には予め定めた機器を停止することによりピーク電力を抑制し、契約電力を低減(4,200kW→3,700kW)することを提案。
提案2
ボイラ
ボイラ稼働台数変更
省エネ効果 | 43.4kL/年 |
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削減金額 | 2,828千円/年 |
設備概要 | ボイラ:1.2t/h、3台 |
キーワード
運転台数の削減
内容
現状 1.2t/hボイラの3台が常時運転されているが、ボイラの負荷率が年平均で13.7%と低い。負荷率が50%以下となると一般に点火、消火、炉内パージを頻繁に繰返し運用効率が低下する。そこで運転台数を1台としてボイラの負荷率を高め(41.1%)、運用効率を改善して都市ガス消費量を削減することを提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。
提案3
照明
高効率照明に更新
省エネ効果 | 206.8kL/年 |
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削減金額 | 8,602千円/年 |
設備投資額 | 16,965千円(回収2.0年) |
設備概要 | 照明 |
キーワード
高効率照明への更新
内容
①146台の400W水銀灯を高効率の190Wセラミックメタルハライドランプに、②280台のFLR40W2灯式蛍光灯を55WのLED蛍光灯に、③低い天井高さ(4m程度)に設置されている263台の400W水銀灯をFHF32W2灯式蛍光灯に、④160台の15Wのランプ型誘導灯を2.0WのLED誘導灯に、各々更新して、電力消費量を削減することを提案。
提案4
冷却設備
伸線機冷却塔給水ポンプ仕様変更
省エネ効果 | 43.4kL/年 |
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削減金額 | 1,806千円/年 |
設備投資額 | 1,200千円(回収0.7年) |
設備概要 | 冷却設備:ポンプ3台、合計37.7kW |
キーワード
その他(過剰能力設備の適正化)
内容
伸線機の冷却塔給水ポンプ3台(合計消費電力37.7kW)は圧力(全揚程:26.5~30.5m)が過大であるためバルブを絞って制御しているが、電力ロスになっている。仕様を変更し適正な全揚程(6.4mで消費電力は3台合計で9kW)にして、電力消費量を削減することを提案。
提案5
乾燥炉
乾燥炉蓋改造による燃料消費量の削減
省エネ効果 | 19.9kL/年 |
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削減金額 | 1,294千円/年 |
設備投資額 | 900千円(回収0.7年) |
設備概要 | 乾燥炉 |
キーワード
空気混入量の低減
内容
乾燥炉の開口部より循環ガスの一部が吹出し、吸引ダクト部では外気を吸引している。このため循環ガス温度が低下し燃料消費量が多くなっているので乾燥炉開口部にゴムを取付けて開口面積を縮小し、循環ガス温度低下を抑制(現状の循環ガス温度66℃ → 改善後の循環ガス温度71℃)して、都市ガス消費量を削減することを提案。
提案6
生産設備
湯洗槽とボンデ槽への蓋取付による放熱抑制
省エネ効果 | 15.9kL/年 |
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削減金額 | 1,032千円/年 |
設備投資額 | 1,100千円(回収1.1年) |
設備概要 | 生産設備 |
キーワード
保温対策
内容
現状、湯洗槽槽とボンデ槽は90℃に加温されているが、操業停止時、蓋が無いため放熱により温度が下がり、蒸気使用量が余分に使用されている。新たに蓋(合計で15m2)を取り付け、放散熱量を低減(現状400MJ/h → 改善後100MJ/h)することで、都市ガス消費量を削減することを提案。
提案7
換気設備
塩酸槽スクラバー排気ファンのインバータ化
省エネ効果 | 22.5kL/年 |
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削減金額 | 936千円/年 |
設備投資額 | 1,200千円(回収1.3年) |
設備概要 | 換気設備 |
キーワード
インバータの導入
内容
塩酸槽のヒュームは常時スクラバーで処理されている(現状の消費電力18.5kW)。塩酸槽が常温でヒュームの発生が少ないため、操業時も排気量の低減が可能である。スクラバーファンをインバータ化して操業(83%風量で消費電力11kW)、非操業(67%風量で消費電力6kW)に合わせて排気量を制御して、電力消費量を削減することを提案。
提案8
ボイラ
適正ボイラに更新
省エネ効果 | 13.1kL/年 |
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削減金額 | 852千円/年 |
設備投資額 | 5,000千円(回収5.9年) |
設備概要 | ボイラ |
キーワード
その他(適正ボイラへの更新)
内容
2t/hボイラの3台中の1台は更新時期が近づいているため、適正容量(現状1.2t/h → 改善後0.75t/h)のボイラに更新して運用効率を向上(現状の点火率を考慮した熱効率78% → 更新後の点火率を考慮した熱効率83%)させることで、燃料消費量を削減することを提案。
提案9
照明
昼光利用による分割消灯
省エネ効果 | 10.9kL/年 |
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削減金額 | 452千円/年 |
設備投資額 | 250千円(回収0.6年) |
設備概要 | 照明 |
キーワード
個別スイッチ設置
内容
PC工場、洗線工場、1F伸線・撚線工場の窓際及び天窓設置場所の照明は、日照時に業務遂行に支障のない程度の照度が得られている。そこで、窓際及び天窓設置場所だけの消灯ができるように照明回路を分割し(現状の照明の消費電力153kW → 改善後部分消灯ができる個所の照明の消費電力42kW)、電力消費量を削減することを提案。
提案10
蒸気配管
蒸気配管・バルブの保温
省エネ効果 | 4.0kL/年 |
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削減金額 | 260千円/年 |
設備投資額 | 722千円(回収2.8年) |
設備概要 | 蒸気配管 |
キーワード
保温対策
内容
現状、蒸気配管(蒸気圧力は0.40MPa-G)のバルブ、フランジと配管の一部に保温がされていない個所や劣化により剥がれている箇所がある。40mmの保温を施工することで、蒸気配管・バルブ・フランジ表面からの熱放散を年間で110GJ削減し、都市ガス消費量を削減することを提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。