H株式会社様のエネルギー管理については、節電委員会を設けて照明や空調などの省エネに取組んでいますが、まだ、設備全体を捉えた活動とはなっていません。今後は、全員参加の省エネ体制を構築して更に活性化されることを期待します。エネルギー使用量では、電力が25%、燃料が75%の比率ですが、中でも特に燃料使用量の多いボイラの運用管理・保守とその供給系統の省エネへの取り組みなどが課題と考えます。
内訳 | 電気 (千kWh/年) |
LPG (千kg/年) |
A重油 (kL/年) |
---|---|---|---|
改善前 | 1,010 | 126 | 612 |
改善後 | 989 | 117 | 503 |
提案1
ボイラ
ボイラの運転台数の削減
省エネ効果 | 52.1kL/年 |
---|---|
削減金額 | 3,840千円/年 |
設備概要 | ボイラ |
キーワード
運転台数の削減
内容
現状、ボイラ(2t/h×3台)が運転されているが、夫々のボイラの負荷率が年平均で33.4%と低い。負荷率が50%以下となると一般に点火、消火、炉内パージを頻繁に繰返し運用効率が低下する。そこで運転台数を2台としてボイラの負荷率を高め、運用効率を改善して燃料(A重油)消費量の削減を図る。
提案2
ボイラ
ボイラの空気比の適正化
省エネ効果 | 3.1kL/年 |
---|---|
削減金額 | 230千円/年 |
設備概要 | ボイラ |
キーワード
空気比の適正化
内容
現在、ボイラ(2t/h×3台)運転されている。そのボイラのばい煙測定データによると排ガス酸素濃度は、5.8%(空気比=1.38)である。燃焼用空気を必要以上に供給すると、排ガス量が増えるとともに燃料消費量が増加する。従って、空気量を適正値(空気比=1.3)に下げて燃料消費量を低減する。
提案3
排水処理
曝気ブロワーの非操業日停止
省エネ効果 | 3.3kL/年 |
---|---|
削減金額 | 213千円/年 |
設備概要 | 排水処理設備 |
キーワード
非生産(不要)時・休日の稼働台数削減
内容
現在、曝気槽が2槽あり、ルーツブロワー7.5kW/台が3台が設置され、その中の2台(各槽1台)が常時運転されている。2槽の中、曝気処理が比較的進んでいる1槽を対象に非操業時(土日曜)ブロワーを停止して電力消費量の削減を図る。なお、現状のBOD濃度を排水分析結果からみると基準値60mg/Lに対して最大42mg/L、最小3mg/Lである。
提案4
コンプレッサ
コンプレッサ吐出圧力の低減
省エネ効果 | 0.5kL/年 |
---|---|
削減金額 | 31千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ |
キーワード
吐出圧力の低減
内容
コンプレッサ7.5kW×4台が運転されている。吐出圧力は、0.65Mpaであり末端で更に減圧弁にて0.5Mpaに減圧して使用している。配管などの圧力損失を考慮に入れても吐出圧力は余裕がある。従って吐出圧力を0.15Mpa下げて0.6Mpaとして圧縮機の軸動力を低減、電力消費量の削減を図る。
提案5
コンプレッサ
コンプレッサのエア漏れ対策
省エネ効果 | 0.4kL/年 |
---|---|
削減金額 | 23千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ |
キーワード
圧力損失の低減、エア漏れ対策
内容
コンプレッサの配管系統は、敷設後長い年月を経過している。年月の経過とともに大きな力による変形やネジ類の緩み、腐食、劣化などによりエア漏れを起す。特に末端のホースやエアガンの接続部、継手などに多い。定期的にエア漏れ検査を行い、漏れを確認・補修することが必要である。なお、一般的に漏れ率は10%程度あるとされるので、10%として試算する。
提案6
照明
採光による照明ランプの消灯
省エネ効果 | 0.2kL/年 |
---|---|
削減金額 | 11千円/年 |
設備概要 | 照明 |
キーワード
その他(採光による照明ランプの消灯)
内容
倉庫の検査場に近い照明灯は、蛍光灯(FLR40W2灯用×8台)で、晴天日でも日中点灯している。この場所は、天井が高く、太陽光からの採光が得られることから晴天日に消灯することを提案。当地(福井県)の年間の晴天率を調べたところ55.8%であった。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。
提案7
ボイラ
蒸気配管、バルブの保温対策
省エネ効果 | 54.7kL/年 |
---|---|
削減金額 | 4,035千円/年 |
設備投資額 | 4,760千円(回収1.2年) |
設備概要 | ボイラ |
キーワード
保温対策
内容
蒸気配管系統の玉形弁、フランジ、配管部が保温されてなく、放熱が大きい。保温効果の高い保温材(グラスウール)で保温し、熱放散を抑えることでボイラ燃料(A重油)の削減を図る。
提案8
工業炉
ヒートセッター機の炉壁部保温対策
省エネ効果 | 12.2kL/年 |
---|---|
削減金額 | 934千円/年 |
設備投資額 | 4,875千円(回収5.2年) |
設備概要 | ヒートセッター機 |
キーワード
保温対策
内容
ヒートセッター機の炉壁表面から熱放散している。現状の炉壁表面温度は、60℃で、炉壁表面を保温材で覆い表面温度を45℃に下げ熱放散を抑制する。この対策により燃料(LPG)の削減を図る。
提案9
デマンド管理
デマンド監視制御装置導入による契約電力の低減
削減金額 | 434千円/年 |
---|---|
設備投資額 | 400千円(回収0.9年) |
設備概要 | デマンド |
キーワード
デマンド監視制御装置の導入(電気使用量の見える化装置の導入を含む)
内容
現在の契約電力は404kWである。最大電力は3月に発生している、その要因は、期末で生産負荷が増え稼動設備の増大によるものと想定される。最大電力の低減目標を370kWと定め、この値に近づいたら、デマンド監視制御装置から警報を出力させ、予め定めた遮断可能な負荷(大容量染色機、ショートループ機器)を電源オフして最大電力(契約電力)を404kW→370kWへ34kWの低減を図る。
提案10
照明
水銀灯ランプをメタルハライドランプに交換
省エネ効果 | 1.0kL/年 |
---|---|
削減金額 | 65千円/年 |
設備投資額 | 90千円(回収1.4年) |
設備概要 | 照明 |
キーワード
高効率照明への更新
内容
倉庫に水銀灯(200W)が11台使用されている。水銀灯ランプを高効率なメタルハライドランプに交換する。また更に、メタルハライドランプは、水銀灯に比して全光束(Lm)が2.1倍の明るさであることから点灯台数を削減(11台→6台)して電力消費量の削減を図る。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。