A社様では、デマンド監視装置導入や加熱炉の断熱強化等の省エネ活動に取り組まれており、今回、コンプレッサや冷却水ポンプを中心とした省エネ診断を希望されました。診断の結果、ファンやポンプへのインバータ導入、エア機器の圧力低減、コンプレッサの吐出圧低減、エア漏れの点検修理、照明や変圧器の高効率化更新等をご提案しました。
内訳 | 電力 (千kWh/年) |
A重油 (kL/年) |
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改善前 | 13,200 | 190 |
改善後 | 12,127 | 187 |
提案1
コンプレッサ
吐出圧力の低減
省エネ効果 | 8.2kL/年 |
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削減金額 | 495千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ(6台、定格容量計339kW) |
キーワード
吐出圧力の低減
内容
エア機器の必要圧力(0.5MPa)と比較し、コンプレッサの吐出圧力(0.61MPa~0.63MPa)が高い。吐出圧力を0.05MPa低減し、コンプレッサの電力消費量を削減することを提案。
提案2
コンプレッサ
吸気フィルタの清掃
省エネ効果 | 1.2kL/年 |
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削減金額 | 71千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ(4台、定格容量計242kW) |
キーワード
吸い込みフィルタの清掃
内容
室内の集塵対策はされているが、コンプレッサの吸気フィルタの目詰まりが散見された。吸気フィルタを清掃し、電力消費量を削減(▲0.8%)することを提案。
提案3
エア配管
エア漏れの点検修理
省エネ効果 | 13.1kL/年 |
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削減金額 | 792千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ(6台、定格容量計339kW) |
キーワード
エア漏れ対策
内容
エア配管、エア使用設備などで、古いものが散見される。エア漏れの点検修理により漏れ量を低減し、コンプレッサの電力消費量を削減することを提案(効果は漏れ率10%で、うち80%を防止したとして試算)。
提案4
工業炉
溶解炉の蓋閉による放熱低減
省エネ効果 | 99.3kL/年 |
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削減金額 | 6,021千円/年 |
設備概要 | 溶解炉(蓋開口部φ1,000) |
キーワード
その他(蓋閉による放熱低減)
内容
溶解中及び溶解後の成分調整(溶融温度1,500℃)等では炉上部の蓋を開放しているため、開口部からの放熱ロスが大きい。可能な限り蓋を閉めて熱放散を減らし、加熱用電力消費量を削減することを提案(蓋開放による熱損失を試算)。
提案5
工業炉
焼鈍炉の空気比適正化
省エネ効果 | 2.8kL/年 |
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削減金額 | 211千円/年 |
設備概要 | 焼鈍炉(A重油消費量27千kL/年、排ガス温度500℃) |
キーワード
空気比の適正化
内容
焼鈍炉の燃料削減では、空気比管理が重要。現状の空気比は不明であるが、一般値から省エネ法で定める工業炉基準空気比まで低減(空気比1.80→1.30)した場合の燃料削減量(▲10%)を試算。他炉への水平展開による効果も期待できる。
提案6
デマンド管理
管理強化によるデマンド低減
省エネ効果 | 最大電力の削減(75kW) |
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削減金額 | 1,249千円/年 |
設備概要 | デマンド監視装置 |
キーワード
デマンド監視制御装置の活用その他(最大電力の低減)
内容
今回の省エネ提案による電力削減として、コンプレッサ関係(吐出圧低減、エア機器の圧力低減等)により▲75.2kW、高効率照明への更新により▲19.4kW、計▲94.6kW。そのうち安全率80%を見てデマンド(最大需要電力)低減効果(5,352→5,277kW、▲75kW)を試算。デマンド監視装置による最大電力監視と機器の管理強化により、デマンドを抑制する。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。
提案7
エア機器
レギュレータによるエア圧の適正化
省エネ効果 | 22.9kL/年 |
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削減金額 | 1,386千円/年 |
設備投資額 | 450千円(工事費の加算が必要)(回収0.3年) |
設備概要 | コンプレッサ(6台、定格容量計339kW)、レギュレータ(30個) |
キーワード
空圧機器の設定圧力適正化、エア風量の適正化
内容
エア機器(エアシリンダやエアブロー)への供給圧が高い。機器別にレギュレータを設置してエア圧力を低減(0.62→0.3、0.5MPa)し、コンプレッサの電力消費量を削減(▲14%)することを提案。
提案8
生産設備
ファン・ポンプ類へのインバータ導入
省エネ効果 | 104.0kL/年 |
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削減金額 | 6,304千円/年 |
設備投資額 | 6,000千円(回収1.0年) |
設備概要 | ファン(4台、計111kW)、ポンプ(6台、計126kW) |
キーワード
インバータの導入
内容
①集塵機ファンの風量調節:ダンパ絞り方式を、ダンパ全開+インバータ制御(ファンの回転数制御)方式に変え、ダンパ絞りによる抵抗損失とファン駆動動力を低減する。②加熱炉用冷却水ポンプ:定流量の年間連続運転を、インバータ導入(ポンプの回転数制御)により変流量化し、炉停止時の冷却水量を低減しポンプ駆動動力を削減する。①②より、電力消費量を削減することを提案。
項目 | 対象設備 | 投資 (千円) |
効果 (千円/年) |
回収 年数 |
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①集塵機ファンのインバータ化 | ファン4台、計111kW | 2,800 | 1,175 | 2.4 |
②冷却水ポンプのインバータ化 | ポンプ6台、計126kW | 3,200 | 5,129 | 0.6 |
提案9
照明
高効率・長寿命照明への更新
省エネ効果 | 12.4kL/年 |
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削減金額 | 753千円/年(長寿命化による球交換費用低減は含まず) |
設備投資額 | 1,180千円(回収1.6年) |
設備概要 | 水銀灯、白熱電球、蛍光灯<br /> →メタル ハライドランプ、LED灯、直管型LED灯 |
キーワード
高効率照明への更新
内容
①水銀灯、②手元照明用白熱灯、③蛍光灯を高効率・長寿命の照明に更新し、電力消費量を削減することを提案。
(注)メタルハライドランプの光束は水銀灯の約2倍(22,000→42,000lm)であることから、台数を減らす。
現状 | 更新案 | 寿命 | 台数 | 投資 (千円) |
効果 (千円/年) |
回収 年数 |
備考 |
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①工場:水銀灯 (400W/台) |
メタル ハライドランプ (400W/台) |
12,000 →18,000h |
100→60 | 600 | 584 | 1.0 | 工事費を除く |
②工場:白熱灯 (100W/台) |
LED灯 (16W/台) |
2,000 →40,000h |
40 | 160 | 123 | 1.3 | 工事費を含む |
③白事務所:蛍光灯 (86W/台) |
直管型LED灯 (50W/台) |
12,000 →40,000h |
35 | 420 | 46 | 9.1 | 工事費を含む |
提案10
受変電設備
高効率変圧器への更新
省エネ効果 | 15.0kL/年 |
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削減金額 | 911千円/年 |
設備投資額 | 20,000千円(工事費の加算が必要)(回収:老朽更新時に実施) |
設備概要 | 1φ変圧器(9台、計395kVA)、3φ変圧器(7台、計1,250kVA) |
キーワード
高効率変圧器への更新
内容
変圧器は設置後25~50年経過し、老朽化により無負荷損・負荷損が大きい。設備保守や省エネの観点で計画的な更新が必要。高効率のトップランナー変圧器に更新した場合の省エネ効果を試算。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。