S社様では、空調設定温度の適正化やデマンド監視装置の導入等の省エネ活動に取り組まれており、今回、全般的な省エネ診断を希望されました。診断の結果、撚機ごとの電流計測による機械損失低減、インバータ制御型コンプレッサへの更新、エア配管長短縮とレシーバタンク設置、デマンド監視装置による最大電力の抑制等をご提案しました。
提案1
照明
不要照明の消灯
省エネ効果 | 5.7kL/年 |
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削減金額 | 338千円/年 |
設備概要 | 消灯可能なFLR蛍光灯(43W/台×286台) |
キーワード
不要照明の消灯
内容
「機械設備の真上の照明」や「上下2列の照明」等の不要照明を消灯し、電力消費量を削減することを提案。
提案2
デマンド管理
デマンド監視装置活用による最大電力低減
省エネ効果 | 最大電力の低減(82kW) |
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削減金額 | 1,366千円/年 |
設備概要 | デマンド監視装置 |
キーワード
デマンド監視制御装置の活用その他(最大電力の低減)
内容
①関係部門との協議により目標最大電力を設定(820→738kW、▲82kW)、②デマンドデータの分析により最大電力の発生時間帯を事前予測。①②より、目標最大電力を超過しそうな場合に予め定めた特定機器(空調機器、照明、一部の生産機械等)の電源off等や、機械設備の順次稼働等により、最大電力の低減を図ることを提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。
提案3
コンプレッサ
インバータ制御型コンプレッサへの更新
省エネ効果 | 15.5kL/年 |
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削減金額 | 914千円/年 |
設備投資額 | 3,400千円(回収3.7年) |
設備概要 | コンプレッサ(55kW×1台) |
キーワード
高効率機への更新
内容
現状のコンプレッサ(吸込弁絞り方式)は設置後16年経過。インバータ制御型コンプレッサに更新して効率向上を図り、電力消費量を削減することを提案。
(注)従来型(吸込弁絞り方式)は、風量が減り吐出圧力が上昇すると吸込弁を絞って圧力を制御するため、消費動力の減り方が少ない。インバータ制御型は、流量に応じて吐出圧力を一定に保つよう回転数を制御するため、消費動力が流量に相応して減少し省エネ効果が高い。
提案4
コンプレッサ
エア配管長短縮及びレシーバタンク新設
省エネ効果 | 11.3kL/年 |
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削減金額 | 666千円/年 |
設備投資額 | 1,800千円(コンプレッサ1台の新設費用は提案3に含む)<br /> (回収2.7年) |
設備概要 | コンプレッサ(3台、計167kWのうち1台更新(55kW))、<br /> レシーバタンク1台(10m3) |
キーワード
吐出圧力の低減その他(エア配管長の短縮)その他(レシーバタンクの設置)
内容
A工場端のコンプレッサ3台でA・B工場にエアを供給しているが、B工場までの配管長が長い。A工場とB工場の間に、コンプレッサ1台(新設、提案3)とレシーバタンク1台を設置することにより、①B工場までの配管長短縮により配管抵抗半減(▲0.029Mpa)、②エア圧変動幅を抑制(現状の80%以下、▲0.01MPa)。①②より、吐出圧力を低減(0.58→0.54MPa、▲0.04MPa)し、コンプレッサの電力消費量を削減することを提案。
提案5
コンプレッサ
コンプレッサ廃熱の暖房利用
省エネ効果 | 5.1kL/年 |
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削減金額 | 567千円/年 |
設備投資額 | 148千円(回収0.3年) |
設備概要 | コンプレッサ(3台、計167kW) |
キーワード
その他(廃熱回収)
内容
大気に放出されているコンプレッサ廃熱を、既存の暖房用ダクトの改造によりA工場の暖房に利用し、暖房用燃料消費量を低減することを提案。
提案6
生産設備
撚機ごとの電流計測による機械損失低減
省エネ効果 | 44.7kL/年 |
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削減金額 | 2,641千円/年 |
設備投資額 | 600千円(回収0.2年) |
設備概要 | 撚機(40台、計400kW)、電流計40台、電流CT40台 |
キーワード
その他(点検強化による機械損失低減)
内容
撚機ではモータで長尺シャフト(10~15m/本、5~6本)を回転して糸の巻き取りを行うが、①軸受け・摺動部が多く摩擦損失が大きい、②糸切れが発生してもロット生産終了まで機械は停止されない、③糸の巻き込みによる機械損失も無視できない、という課題がある。日常の保守点検強化策として、④撚機ごとの電流計測により電力使用量を個別管理、⑤撚機の設定回転数ごとに適正な電流管理値を設定し、管理値超過時に軸受け・摺動部の清掃・給油により摩擦損失を低減。④⑤の実施により、撚機の電力消費量低減を図ることを提案。
提案7
照明
高効率照明への更新
省エネ効果 | 11.9kL/年 |
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削減金額 | 705千円/年 |
設備投資額 | 24,260千円(回収:老朽更新時に実施) |
設備概要 | FLR蛍光灯、水銀灯→LED灯 |
キーワード
高効率照明への更新
内容
①FLR蛍光灯を直管型LED灯に、②水銀灯をLED灯に更新し、電力消費量を削減することを提案。
現状 | 更新案 | 台数 | 投資 (千円) |
効果 (千円/年) |
回収 年数 |
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①FLR蛍光灯(43W/台) | 直管型LED灯(22W/台) | 1,200 | 24,000 | 693 | 34.6 |
②水銀灯(325W/台) | LED灯(150W/台) | 4 | 260 | 12 | 21.7 |
提案8
受変電設備
変圧器の統合により1台停止
省エネ効果 | 0.6kL/年 |
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削減金額 | 35千円/年 |
設備投資額 | 200千円(回収5.7年) |
設備概要 | 1φ変圧器(300kVA×3台)、<br /> 3φ変圧器(300kVA×1台、500kVA×1台)にて、<br /> 3φ変圧器(300kVA×1台)を停止 |
キーワード
変圧器の統合
内容
単相変圧器(300kVA×3台、3相結線)、三相変圧器(A:300kVA×1台、B:500kVA×1台)の全体需要率が26%と低い。①三相変圧器2台をB(500kVA)に統合してA(300kVA)を停止、②三相変圧器(B)と単相変圧器(3台)にて三相変圧器(A)の負荷分担により、変圧器の損失低減と全体需要率向上(36%)を図ることを提案。(注)停止変圧器の1次側電源を遮断し、確実に損失を低減することが必要。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。