A社様では、空調設定温度の適正化や不要照明の間引き等の省エネ活動に取り組まれており、今回、全般的な省エネ診断を希望されました。診断の結果、圧延ピッチの適正化によるデマンド低減、コンプレッサ関係の改善(レシーバタンク設置や空冷式高効率機種への更新等)、加熱炉の空気比適正化等をご提案しました。
内訳 | 電力 (千kWh/年) |
A重油 (kL/年) |
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改善前 | 770 | 400 |
改善後 | 654 | 372 |
提案1
コンプレッサ
吐出圧力の低減
省エネ効果 | 2.5kL/年 |
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削減金額 | 459千円/年 |
設備概要 | スクリュー式コンプレッサ(75kW×1台) |
キーワード
吐出圧力の低減
内容
エア圧設定は0.7MPaであるが、少し余裕があるので0.6MPa(▲0.1MPa)に低減し、コンプレッサの電力消費量を削減することを提案。
提案2
工業炉
加熱炉の空気比適正化
省エネ効果 | 25.4kL/年 |
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削減金額 | 1,833千円/年 |
設備投資額 | (補修費で対応)(回収:―) |
設備概要 | 加熱炉(A重油消費量400千kL/年) |
キーワード
空気比の適正化
内容
加熱炉の空気比は1次空気と2次空気(レキュペレータによる予熱空気)の供給量で手動調整しているが、過剰給気状態。排ガスの酸素濃度計測+2次空気供給量と燃料供給量の比例制御により、空気比を適正化(2.88→1.60、▲1.28)し、燃料消費量を削減(▲7%)することを提案。
提案3
工業炉
加熱炉開口部の補修
省エネ効果 | 1.2kL/年 |
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削減金額 | 76千円/年 |
設備概要 | 加熱炉(炉内1,100℃)、開口部(2ヵ所、計0.14m2) |
キーワード
その他(開口部のリーク対策)
内容
加熱炉の点検口扉及び抽出扉の下部に、扉と炉床の変形による開口部があり、放熱量が多い。扉の下部に保温材を取付けて開口面積を縮小して放熱量を低減し、燃料消費量を削減することを提案。
提案4
生産設備
補機設備の不要時停止の励行
省エネ効果 | 1.7kL/年 |
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削減金額 | 315千円/年 |
設備概要 | 停止可能な補機(製品切断シャーや矯正機等、計268kW) |
キーワード
不要設備の停止
内容
圧延作業開始までに種々の事前作業があるが、補機の中には立ち上げが短時間 (2~3 分程度)で複雑な事前調整の無いものもある。補機の非生産時停止についての洗い出しにより無負荷時の運転時間短縮を行い、電力消費量を削減することを提案。
提案5
デマンド管理
圧延ピッチの適正化による最大電力の低減
省エネ効果 | 最大電力の低減(250kW) |
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削減金額 | 4,619千円/年 |
設備概要 | 圧延機用モータ(3台、計2,500kW) |
キーワード
その他(生産条件の標準化によるデマンド低減) その他(最大電力の低減)
内容
圧延機用モータの容量が大きいため、最大電力は圧延ピッチにより大きな影響を受ける。品種・材料等毎に圧延ピッチの標準化により、最大電力の低減(1,450→1,200kW、▲250kW)を図ることを提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。
提案6
コンプレッサ
レシーバタンク設置、及び空冷式高効率コンプレッサへの更新
省エネ効果 | 21.1kL/年 |
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削減金額 | 3,876千円/年 |
設備投資額 | 8,482千円(回収2.2年) |
設備概要 | コンプレッサ(水冷・スクリュー式、75kW×2台)<br /> →(空冷・ドライヤ内蔵型、22.5kW×2台)、<br /> レシーバタンク(1,000L×1台) |
キーワード
高効率機への更新
内容
コンプレッサは、①レシーバタンクが無いため容量が過大、②現状のスクリュー式コンプレッサ(75kW×2台)は無負荷電力が大きい(定格の70%)ため軽負荷運転は避けるべき。更に水冷式であるため付帯機器(専用除湿機3.9kW、冷却水ポンプ5.5kW、冷却塔用ファン1.3kW)の運転電力が大きい。①レシーバタンク設置(1,000L×1台)、②空冷式ドライヤ1.6kW内蔵型コンプレッサ(22.5kW×2台)への更新により、電力消費量を削減(▲65%)することを提案。
提案7
コンプレッサ
休止機への冷却水供給停止、及びインペラカットによるポンプ吐出量低減
省エネ効果 | 0.6kL/年 |
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削減金額 | 119千円/年 |
設備投資額 | 220千円(回収1.8年) |
設備概要 | ポンプの消費電力(4.4kW→3.0kW) |
キーワード
その他(停止設備への給水停止)その他(インペラカットによるポンプ吐出量低減)
内容
ポンプ1台でコンプレッサ2台に冷却水を供給しているが、1台は休止している。①配管変更による休止コンプレッサへの冷却水供給停止、②インペラカットによるポンプ吐出量低減により、電力消費量を削減(▲32%)することを提案。
提案8
工業炉
加熱炉側壁の保温強化
省エネ効果 | 1.6kL/年 |
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削減金額 | 119千円/年 |
設備投資額 | 60千円(回収0.5年) |
設備概要 | 耐火物補修用扉(表面積0.3m2×4) |
キーワード
保温対策
内容
加熱炉側面の耐火物補修用扉の表面は保温施工しているが高温(210℃)であり、大きな熱放散ロスがある。保温材を補強して放熱量を低減し、燃料消費量を削減することを提案。
提案9
照明
高効率・長寿命照明への更新
省エネ効果 | 3.2kL/年 |
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削減金額 | 584千円/年 |
設備投資額 | 1,130千円(回収1.9年) |
設備概要 | Na灯、白熱灯投光器→LED灯、LED投光器 |
キーワード
高効率照明への更新
内容
①倉庫天井のナトリウム灯は瞬時点灯できないため、非連続作業でも消灯の励行が困難で無駄な点灯時間比率が高い。②工場内局所照明用の投光器は白熱灯であり、効率が悪い。瞬時点灯可能で高効率・長寿命のLED灯に更新し、電力消費量の削減、長寿命化による維持費(球交換費用)の低減を図ることを提案。
現状 | 更新案 | 寿命 | 台数 | 投資 (千円) |
効果 (千円/年) |
回収 年数 |
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①ナトリウム灯(380W/台) | LED灯(96W/台) | 12,000→60,000h | 10 | 550 | 317 | 1.7 |
②白熱灯投光器(270W/台) | LED投光器(45W/台) | 2,000→40,000h | 20 | 580 | 267 | 2.2 |
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。