A工場様におけるエネルギー使用割合は燃料が70%、電力が30%です。燃料では蒸気ボイラでの消費が殆どを占め、GHP空調機の消費が僅かにあります。電力ではコンプレッサ、照明設備などの消費となっています。今回の診断では、燃料消費の多い蒸気ボイラに係るボイラ運転台数の削減、蒸気圧力の低減、乾燥機・蒸気配管の保温対策等に加え、GHP屋外機の日除け設置を、また電力ではコンプレッサの吐出圧力の低減、圧縮空気配管連携によるコンプレッサ運転台数の削減、受電契約の一本化等をご提案しました。
内訳 | 電気 (千kWh/年) |
都市ガス (千m3/年) |
上水 (千m3/年) |
下水 (千m3/年) |
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改善前 | 733 | 383 | 36 | 34 |
改善後 | 626 | 349 | 36 | 34 |
提案1
ボイラ
蒸気ボイラ運転台数の削減
省エネ効果 | 32.2kL/年 |
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削減金額 | 2,233千円/年 |
設備概要 | 蒸気ボイラ (蒸発量 2t/h×2台) |
キーワード
運転台数の削減
内容
蒸気ボイラ2台の運転であるが、軽負荷(負荷率:20.7%)のため2台が交互運転を繰り返している。この現象は点火、消化、炉内パージの繰返しとなり運用効率を悪化させている。運転台数を1台(負荷率:59.3%)として、1週間交替運転に変更してパージによる運用効率悪化を抑制し、燃料(都市ガス)を削減することを提案。
提案2
コンプレッサ
吐出圧力の低減
省エネ効果 | 5.7kL/年 |
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削減金額 | 413千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ (11kW×5台) |
キーワード
吐出圧力の低減
内容
5台のコンプレッサが設置されているが、いずれも吐出圧力0.75~0.83MPaの間で運転されている。このエアの使用側の必要圧力や配管などの圧力損失を考慮に入れても現状の吐出圧力は高いので、吐出圧力を0.65MPaに低減して圧縮機の軸動力を下げ、電力消費量を削減することを提案。
提案3
空調設備
室内設定温度の適正化
省エネ効果 | 5.2kL/年 |
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削減金額 | 361千円/年 |
設備概要 | GHP 6台(冷房能力 28kW/台~45kW/台) |
キーワード
設定温度の適正化
内容
事務所空調にガスヒートポンプ(GHP)が使用されている。室内温度設定は決められた管理基準がないため、各部屋の管理に任されている。診断当日は冷房設定温度が20℃~25℃(平均24℃)に設定されていた。設定温度を緩和すると室内外の温度差が小さくなるので、熱負荷、壁・窓・開口等の熱損失が小さくなることから設定温度を平均に対して2℃緩和し、26℃として電力消費量を削減することを提案。
提案4
コンプレッサ
圧縮空気配管のエア漏れ量の低減
省エネ効果 | 1.7kL/年 |
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削減金額 | 124千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ (11kW×5台) |
キーワード
圧力損失の低減、エア漏れ対策
内容
コンプレッサのエアは配管を通して負荷に供給されている。エア漏れ量の定期的な測定および漏れ箇所の巡回点検を行うことにより、漏れを確認・補修して漏れ量を削減することを提案。ここでは、現状15%の漏れがあると想定し、これを5%に低減できるとして電力削減量を試算。
提案5
ボイラ
蒸気圧力の低減
省エネ効果 | 0.8kL/年 |
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削減金額 | 55千円/年 |
設備概要 | 蒸気ボイラ (蒸発量 2t/h×2台) |
キーワード
蒸気圧力の適正化
内容
蒸気ボイラの蒸気は、蒸気圧力0.75MPaで使用側に供給している。一方、使用側では0.6MPaで使用していた。そこで供給圧力を0.65MPaに下げてボイラ燃料(都市ガス)を削減することを提案。なお蒸気圧力を下げると飽和蒸気の比エンタルピーが小さくなり燃料の節約となる。また圧力が低くなると蒸気温度も低くなるので蒸気配管などからの放熱量も低減される。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。
提案6
コンプレッサ
空気配管連携によるコンプレッサ運転台数の削減
省エネ効果 | 19.4kL/年 |
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削減金額 | 1,399千円/年 |
設備投資額 | 800千円(回収0.6年) |
設備概要 | 圧縮空気配管 |
キーワード
コンプレッサの統合、台数削減
内容
本工場にはクリーニングラインが6ラインあり、ライン毎にコンプレッサ1台を専用設備とすることを基本としている。現状のコンプレッサでの消費電力は、工場全体の電力消費量の25.5%を占めている。今回、ラインの圧縮空気6ラインを空気配管で連絡して共用化を図り、コンプレッサの運転台数を、5台→3台に減らし電力消費量を削減することを提案。
提案7
蒸気配管
乾燥機熱交換部および蒸気配管の保温対策
省エネ効果 | 12.4kL/年 |
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削減金額 | 863千円/年 |
設備投資額 | 1,391千円(回収1.6年) |
設備概要 | 蒸機乾燥機、蒸気配管 |
キーワード
保温対策
内容
①蒸気乾燥機熱交換部(19台)はプラスチック系の板で断熱・保温されているが、表面温度は70℃あり熱損失が大きい。内面側に断熱材を貼り付けて放熱損失を抑制する。②蒸気圧力0.75MPa、蒸気温度173℃の蒸気が送られている。配管、バルブで保温されていない箇所があり熱放散しているので保温材で保温。③蒸気圧力0.5MPa、蒸気温度159℃の蒸気が送られている。仕上げ工程のアイロン、プレス蒸気配管の一部で保温されていない箇所があり熱放散しているため保温材で保温。①、②、③の保温対策により燃料を削減することを提案。
提案8
受変電設備
受電契約の一本化
省エネ効果 | ー |
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削減金額 | 392千円/年 |
設備投資額 | 400千円(回収1.0年) |
設備概要 | 契約電力 (276kW→244kW) |
キーワード
その他(受電契約の一本化)
内容
本工場の受電契約は、同一敷地・連接建屋であるにも拘らず、新庄工場(契約電力:191kW)と葛城第1、第2工場(契約電力:85kW)の二本立てとなっている。両者を一本化することで、最大電力が低減され契約電力を32kW低減することを提案。なお現状はデマンド監視装置が導入されていないので、契約電力低減の有効な手段であることから導入を推奨。
提案9
空調設備
GHP室外機への日除け設置
省エネ効果 | 1.4kL/年 |
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削減金額 | 98千円/年 |
設備投資額 | 47千円(回収0.5年) |
設備概要 | GHP 6台(冷房能力 28kW~45kW/台) |
キーワード
室外機への散水、日射対策、移設
内容
GHP室外機が6台設置されている。日射を直接受けているため冷却空気温度は3~4℃上昇していると思われる。よしずにより直射日光を遮ることで運転効率を改善し電力消費量を削減することを提案。なお、現状の室外機周辺温度は40℃、日除けにより周辺温度36℃に低下すると推定し、GHP燃料低減効果を1℃低減により3%/℃効率改善を見込んで試算。
提案10
照明
天井蛍光灯の移設と間引き
省エネ効果 | 0.6kL/年 |
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削減金額 | 40千円/年 |
設備投資額 | 60千円(回収1.5年) |
設備概要 | 照明 40W二連形蛍光灯×42台 |
キーワード
照明の間引き その他(設置場所の適正化)
内容
2階Bラインの照明は、40W二連形蛍光灯であるが、天井に取付けられた12台と機側に設置された30台(推定台数)とがある。この内、天井に取付けられた12台は、必要照度の確保に資していないようなので、機側に移設するとともに数量を半減して電力消費量を削減することを提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。