A社様では、エネルギー使用量の殆どが電力(99%)です。その主な設備としては、空調設備、照明設備、集塵機、コンプレッサなど、また、燃料では使用量は少ないですが、ボイラ設備があります。現在、空調設定温度の調整や不使用場所の消灯などの省エネ・節電に取組まれています。今回の診断では、空調設備の診断を希望されましたので、冷温水ポンプの運用改善、給排気ファンのインバータの活用を、また、その他では、コンプレッサの吐出圧力の低減、高効率照明への更新、機器の保温対策等をご提案しました。
内訳 | 電気 (千kWh/年) |
LPG (千kg/年) |
灯油 (kL/年) |
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改善前 | 4,572 | 4 | 12 |
改善後 | 4,229 | 4 | 11 |
提案1
換気設備
給排気用ファンのインバータの活用
省エネ効果 | 10.8kL/年 |
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削減金額 | 647千円/年 |
設備概要 | 給排気ファン (5台,総入力 31.6kW) |
キーワード
空調換気設備の清掃(熱交換器、フィルタ等)
内容
塗装室、クリーンルームの換気は、インバータ仕様の給排気ファン5台で行っている。フィルタの目詰まりにより送風量100%で運転している。このことはインバータ効率(95%)分の損失を余計に発生していることである。フィルタ清掃により圧損を低減して送風割合を83%に下げ、電力消費量を削減することを提案。
提案2
コンプレッサ
吐出圧力の低減
省エネ効果 | 3.7kL/年 |
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削減金額 | 222千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ (37kW×1台、22kW×1台) |
キーワード
吐出圧力の低減
内容
工場内には、2台のコンプレッサが設置され、いずれも吐出圧力は0.7MPaで運転されている。エア使用側の必要圧力は、0.4MPa程度、また、配管などの圧力損失を考慮しても現状の吐出圧力は高い。このため吐出圧力を0.6MPaに低減して圧縮機の軸動力を下げ、電力消費量を削減することを提案。
提案3
コンプレッサ
吸い込みフィルタの清掃
省エネ効果 | 0.4kL/年 |
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削減金額 | 22千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ (37kW×1台、22kW×1台) |
キーワード
吸い込みフィルタの清掃
内容
コンプレッサの吸込みフィルタの清掃回数が少なく、フィルタが目詰まりしている。吸込みフィルタの平均圧損は、現状2.5kPaであるが、清掃後1.25kPaに低減して、圧縮機の軸動力を減らし電力消費量を削減することを提案。
提案4
ボイラ
蒸気圧力の低減
省エネ効果 | 0.2kL/年 |
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削減金額 | 14千円/年 |
設備概要 | 蒸気ボイラ (蒸発量 168kg/h×1台) |
キーワード
蒸気圧力の適正化
内容
フレーム洗浄装置の水槽を昇温するのに蒸気ボイラの蒸気を使用している。蒸気圧力は、0.70MPa-Gと高い設定で運用されている。この蒸気圧力を0.5MPaーGに低減して、ボイラ燃料(灯油)を削減することを提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。
提案5
照明
高効率照明への更新
省エネ効果 | 57.2kL/年 |
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削減金額 | 3,420千円/年 |
設備投資額 | 46,128千円(回収13.5年) |
設備概要 | 照明 ①従来型蛍光灯(FLR40W2灯用×2000台)<br /> →LED(22kW2灯用×2000台)<br /> ②水銀灯(250W×40台)→LED(165kW×40台) |
キーワード
高効率照明への更新
内容
①事務所、工場の従来型蛍光灯を消費電力の少ないLED照明に更新、②工場の天井照明に使用されている水銀灯を消費電力の少ないLED照明に更新。以上の高効率照明への更新により電力消費量を削減することを提案。
提案6
照明
照明器具へのプルスイッチ取付け
省エネ効果 | 12.0kL/年 |
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削減金額 | 718千円/年 |
設備投資額 | 800千円(回収1.1年) |
設備概要 | 照明器具 (FLR40W2灯用×400台) |
キーワード
個別スイッチ設置
内容
事務所(事務エリア、通路、会議エリア、資料エリア等)および工場(通路、窓際、自動販売機の上、材料置場、製品置場等)の照明器具400台にプルスイッチを取り付け、不使用時の消灯を社員に徹底して電力消費量を削減することを提案。なお、消灯実施率を50%と想定して試算。
提案7
空調設備
冷温水ポンプの運用改善
省エネ効果 | 4.1kL/年 |
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削減金額 | 244千円/年 |
設備投資額 | 1,000千円(回収4.1年) |
設備概要 | 空冷チラー(冷房時消費電力13.5kW×4台)、<br /> 冷温水1次ポンプ(5.5kW×1台) |
キーワード
運転時間の短縮
内容
冷温水1次ポンプは、空調熱源機の運転停止にも関わらず常時運転している。この理由は、冷温水往ヘッダーと還ヘッダーとの間にバイパス配管がないため、空調負荷の変動に関係なく常時運転させている。 往・還ヘッダー間にバイパス配管を設け、更に冷温水1次ポンプと空冷チラーの制御方式を変更して、空冷チラーと冷温水1次ポンプを連動させて停止することで、電力消費量を削減することを提案。
提案8
ボイラ
蒸気配管、バルブの保温対策
省エネ効果 | 0.5kL/年 |
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削減金額 | 45千円/年 |
設備投資額 | 90千円(回収2.0年) |
設備概要 | 配管、フランジ、フランジ弁、コントロール弁 |
キーワード
保温対策
内容
蒸気ボイラより170℃(at0.7Mpa-G)の蒸気を送っている。未保温箇所として、配管、フランジ、フランジ弁、コントロール弁があり、そこから放熱している。これ等を保温(保温材30mm)し、放熱を防止することで、ボイラ燃料(灯油)を削減することを提案。
提案9
生産設備
洗浄機温水槽の保温対策
省エネ効果 | 0.2kL/年 |
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削減金額 | 14千円/年 |
設備投資額 | 15千円(回収1.1年) |
設備概要 | 洗浄機温水槽(水槽面積0.24m2×3箇所) |
キーワード
保温対策
内容
洗浄機温水槽の湯温(70℃)は、湯面からの放熱で低下するため、低下分をボイラで昇温している。洗浄機温水槽の湯面に断熱シート(アルミ保温シート、厚さ5mm)を施すことで、湯面からの放熱を防止してボイラ燃料(灯油)を削減することを提案。
提案10
生産設備
乾燥機排気ダクトの保温対策
省エネ効果 | 0.2kL/年 |
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削減金額 | 13千円/年 |
設備投資額 | 60千円(回収4.6年) |
設備概要 | 乾燥機排気ダクト (ダクト放熱面積0.47m2×15箇所) |
キーワード
保温対策
内容
乾燥機排気温度が高く排気ダクトの表面温度が76℃となっている。このため室内冷房負荷増加の要因となっている。排気ダクトをロックウール(厚さ25mm)で保温し、室内冷房負荷の増加を抑えて、空調熱源機(空冷チラー)の電力消費量を削減することを提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。