S社様では、不要な照明の消灯などの運用改善やデマンド監視制御装置を導入してのデマンド抑制を実施されています。今回、電気炉冷却設備やエアコンプレッサの省エネを目的に受診されました。現状のエネルギー消費は、熱量比率でみると、電力が90%、燃料が10%であり、エアコンプレッサの運用改善、ファン・ポンプへのインバータ導入、高効率変圧器への更新など電力関連の省エネをご提案しました。
内訳 | 電気 (千kWh/年) |
LPG (千kg/年) |
A重油 (kL/年) |
灯油 (kL/年) |
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改善前 | 2,200 | 28 | 5.5 | 21 |
改善後 | 2,030 | 28 | 5.5 | 21 |
提案1
コンプレッサ
コンプレッサ運転管理による省エネ
省エネ効果 | 3.3kL/年 |
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削減金額 | 265千円/年 |
設備概要 | エアコンプレッサ(15,37,55kW×各1台) |
キーワード
吸気温度の低減 吐出圧力の低減 圧力損失の低減、エア漏れ対策
内容
自動造形機などのエア機器の駆動源として3台のエアコンプレッサ(合計定格容量107kW)が運転されている。その運転管理について、①吐出圧力、②吸い込み温度、③エア配管からの漏れに留意することで、電力消費量を削減することを提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。
提案2
生産設備
集塵機ファンへのインバータ導入
省エネ効果 | 9.2kL/年 |
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削減金額 | 734千円/年 |
設備投資額 | 1,250千円(回収1.7年) |
設備概要 | 集塵機ファン(37kW×1台) |
キーワード
インバータの導入
内容
現在、集塵機ファン(定格容量37kW)は前後にダンパーが無く定格最大風量で運転しているが、工場環境が良好で風量を現状の80%まで絞ることが可能と思われる。集塵機ファンをインバータ化して、電力消費量を削減することを提案。
提案3
デマンド管理
電力使用量を見える化してムダを削減する
省エネ効果 | 8.9kL/年 |
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削減金額 | 707千円/年 |
設備投資額 | 2,000千円(回収2.8年) |
設備概要 | FEMS |
キーワード
FEMS、BEMSの導入
内容
生産量に対応した設備ごとの電力量を把握するため、多回路計測装置を導入し、日間、月間、年間の運転状態を把握し、無駄や損失を見出す。目標として総電力使用量の3%を削減することを提案。
提案4
コンプレッサ
インバータ制御付きコンプレッサの導入
省エネ効果 | 8.1kL/年 |
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削減金額 | 647千円/年 |
設備投資額 | 4,000千円(回収6.2年) |
設備概要 | エアコンプレッサ<br /> (非インバータ15,37kW×各1台→インバータ55kW×1台) |
キーワード
インバータの導入
内容
15kW,37kW,55kWのエアコンプレッサを使用しているが、自動造形機の稼働状況により余力が生じている。また、15kWエアコンプレッサは設置年度が不明で経年劣化が進行している。そこで、平均風量50%で運用されている15kWと37kWを統合し、55kWのインバータ制御コンプレッサに更新することで、電力消費量を削減することを提案。
提案5
生産設備
高周波誘導炉用冷却水ポンプのインバータ化
省エネ効果 | 7.6kL/年 |
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削減金額 | 605千円/年 |
設備投資額 | 450千円(回収0.7年) |
設備概要 | 高周波誘導炉用冷却水ポンプ(5.5kW×1台) |
キーワード
インバータの導入
内容
0.5T高周波誘導炉は年間20時間しか稼働しないにも拘らず、炉の冷却水ポンプ(定格容量5.5kW)は凍結防止のため年中フル稼働している。炉を使用しない期間は冷却水量を1/2以下にしても問題ないため、インバータを導入して流量を下げ、電力消費量を削減することを提案。
提案6
受変電設備
高効率変圧器の採用による電力損失の低減
省エネ効果 | 2.9kL/年 |
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削減金額 | 232千円/年 |
設備投資額 | 1,800千円(回収7.8年) |
設備概要 | 受変電設備(3φ300kVA×1台) |
キーワード
変圧器の小型化 高効率変圧器への更新
内容
第一工場には3台の三相変圧器が設置、使用されている。この中の1台(300kVA)は工場稼働当初から約40年間使用しており、最近のトップランナー変圧器に比べると電力損失が大きい。この1台をトップランナー変圧器に更新することで、電力消費量を削減することを提案。
提案7
生産設備
低周波誘導炉用冷却水ポンプのインバータ化
省エネ効果 | 2.9kL/年 |
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削減金額 | 229千円/年 |
設備投資額 | 400千円(回収1.7年) |
設備概要 | 低周波誘導炉用冷却水ポンプ(3.7kW×1台) |
キーワード
インバータの導入
内容
3.5T高周波誘導炉は年間1,500時間程度稼働している。一方、炉の冷却水ポンプ(定格容量3.7kW)は凍結防止のため年中フル稼働している。炉休止日や低温休止状態の期間は冷却水量を1/2以下にしても問題ないため、インバータを導入して流量を下げ、電力消費量を削減することを提案。
提案8
照明
工場照明(水銀灯)の高効率化
省エネ効果 | 0.9kL/年 |
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削減金額 | 75千円/年 |
設備投資額 | 315千円(回収4.2年) |
設備概要 | 400W水銀灯→190Wセラミックメタルハライドランプ |
キーワード
高効率照明への更新
内容
工場照明は電圧変動による水銀灯の立消え回避のため、大部分がHf蛍光灯に置き換えられている。残っている400W水銀灯7台を同じ照度で、高効率な190Wセラミックメタルハライドランプに更新することで、電力消費量を削減することを提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。