独立行政法人都市再生機構西日本支社様は、専門のビル管理事業者による管理となっています。節電では、共用スペースの消灯、省エネでは吸収式冷温水機の台数低減(2台→1台)、冷却水ポンプ容量の低減、誘導灯のLED化、廊下照明の手元スイッチの追加、電気室冷却ファンの停止など実施されています。今回の診断で、空調関係では吸収式冷温水機の空気比改善、冷温水ポンプのインバータ化、暖房設定温度の緩和、給排気関係では外気導入量の低減、厨房排気ファンのインバータ化、受変電関係ではデマンド監視制御装置の活用、変圧器の統合化、照明関係では、照明の間引きなどをご提案しました。
内訳 | 電気 (千kWh/年) |
都市ガス (千m3/年) |
上水 (千m3/年) |
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改善前 | 1,025 | 86 | 9 |
改善後 | 964 | 70 | 9 |
提案1
換気設備
外気導入量の適正化
省エネ効果 | 11.2kL/年 |
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削減金額 | 1,016千円/年 |
設備概要 | 換気設備 |
キーワード
外気導入量・換気量の適正化
内容
外気導入は、全熱交換器ユニットを通して室内空調機に供給している。環境計測記録を見るとCO2濃度は、年間平均620ppmと低く、基準値(1000ppm)に対して余裕があることから外気導入量を削減し、CO2濃度を800ppmとして、熱源であるガス吸収式冷温水機の燃料(都市ガス)消費量を削減することを提案。
提案2
空調設備
空調機の設定温度の適正化
省エネ効果 | 6.1kL/年 |
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削減金額 | 540千円/年 |
設備概要 | 空調機 |
キーワード
設定温度の適正化
内容
①現状、事務所ゾーンの冷房温度は26.4℃、暖房温度は23.5℃である。政府推奨設定温度は冷房28℃、暖房20℃に比して差が大きい。特に暖房の差が大きいので暖房設定温度2℃下げ、熱源であるガス吸収式冷温水器の燃料(都市ガス)を削減することを提案。②3階サーバ室の空調(3.5kW)は、常時冷房運転しているが、設定温度は20℃で、室温は19℃であった。冷房設定温度を22℃に緩和して空調電力消費量を削減することを提案。
提案3
給湯設備
ガス吸収式冷温水機の空気比の適正化
省エネ効果 | 1.4kL/年 |
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削減金額 | 126千円/年 |
設備概要 | ガス吸収式冷温水機 |
キーワード
空気比の適正化
内容
ガス吸収式冷温水機(180RT×2台)のばい煙測定データによると排ガス酸素濃度は、8.5%(空気比=1.68)である。燃焼用空気を必要以上に供給すると、排ガス量が増えるとともに燃料消費量が増加する。従って、空気量を適正値(空気比=1.3)に下げて燃料(都市ガス)消費量を低減することを提案。
提案4
給湯設備
電気温水器の設定温度適正化と運転時間短縮
省エネ効果 | 0.9kL/年 |
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削減金額 | 60千円/年 |
設備概要 | 電気温水器 5.4kW×1台 |
キーワード
運転時間の短縮(立ち上げ時間の変更) 設定温度の適正化
内容
シャワー用電気温水器(消費電力5.4kW)の設定温度は、90℃と高く、年間を通して電源が入っている。使用目的は、当直者用シャワー給湯であるため設定温度を60℃に下げ、且つ運転時間を短縮(24h/日→3h/日)することで電力消費量を削減することを提案。
提案5
給湯設備
給湯器・温水器の不使用時の電源遮断
省エネ効果 | 0.4kL/年 |
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削減金額 | 27千円/年 |
設備投資額 | 30千円(回収1.1年) |
設備概要 | 給湯器・温水器 |
キーワード
その他(不使用時の電源遮断)
内容
①各階の電気給湯器(6台)は、執務時間帯に常時電源が入っている。使用用途は給茶用であるので、保温ポットに湯を貯めて電気給湯器を停止する。②各階洗面所の電気温水器(4W×12台)は使用停止されているが、電源が常時入っていることから待機電力の消費がある。元電源を切ることで省エネを図る。①、②を実施することで、電力消費量を削減することを提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。
提案6
照明
照明の間引き
省エネ効果 | 6.6kL/年 |
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削減金額 | 448千円/年 |
設備投資額 | 764千円(回収1.7年) |
設備概要 | 照明 1,906台 |
キーワード
照明の間引き
内容
事務所には、蛍光灯器具(FLR40W×2灯用、FLR40W×1灯用、Hf32W×1灯用)が、総台数で1,906台設置されている。この内、窓際、通路、書庫、会議室、コピーエリアなど不要時消灯可能な蛍光灯ではあるが、点灯方式が一括点灯であるため個別に消灯できない。このため、このエリアの蛍光灯器具382台にプルスイッチを取り付け、個別に消灯可能として電力消費量を削減することを提案。
提案7
空調設備
ファンのインバータ化
省エネ効果 | 3.2kL/年 |
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削減金額 | 217千円/年 |
設備投資額 | 746千円(回収3.5年) |
設備概要 | ファン 3.7kW×1台、7.5kW×1台 |
キーワード
インバータの導入
内容
①食堂営業時間は、8時~18時10分である。食堂は空調機ファン(3.7kW)の風量をダンパーで85%に絞って運転しているが、軸動力は余り減らない。そこでインバータを付加してピーク時間帯(昼食時)を除く時間帯の動力を削減する。②厨房用排気ファン(7.5kW)は、定格で連続運転されている。厨房でガス未使用時には換気風量の最小化が可能であるので、インバータを付加して、風量70%に下げて運転することを提案。①、②を実施して、電力消費量を削減することを提案。
提案8
空調設備
ガス吸収式冷温水機用冷温水ポンプのインバータ化
省エネ効果 | 3.2kL/年 |
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削減金額 | 214千円/年 |
設備投資額 | 660千円(回収3.1年) |
設備概要 | ポンプ 11kW×1台 |
キーワード
インバータの導入
内容
ガス吸収式冷温水機の冷温水ポンプ(11kW)は定格運転をしている。冷温水は空調機、ファンコイルに送られているが、季節により負荷率は変化する。ポンプにインバータを付加して負荷率に応じて送水量を調整することで、ポンプの電力消費量を低減することを提案。
提案9
デマンド管理
デマンド監視制御装置の活用による契約電力の低減
省エネ効果 | ー |
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削減金額 | 206千円/年 |
設備投資額 | 250千円(回収1.2年) |
設備概要 | デマンド監視制御装置 |
キーワード
デマンド監視制御装置の活用(日負荷線図の活用を含む)
内容
現在の契約電力は322kWである。最大電力は11月に発生している。最大電力の低減目標を310kWと定め、この値に近づいたらデマンド監視制御装置から警報を出力させ、予め定めた遮断可能な負荷(給排気機器、空調機、事務所照明)を電源オフして最大電力を抑制することで、契約電力を、322kW→310kWへ12kW低減することを提案。なお、既設のデマンド監視制御装置はリアルタイム表示ができない運用になっているため、この機能と警報機能を追加することが必要。
提案10
受変電設備
変圧器の統合
省エネ効果 | 0.6kL/年 |
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削減金額 | 43千円/年 |
設備投資額 | 200千円(回収4.7年) |
設備概要 | 変圧器 |
キーワード
変圧器の統合
内容
地下1階の電気室には、変圧器5台が設置されている。この内の低圧電灯3(1Φ-200kVA)と低圧電灯4(1Φ-150kVA)の負荷が少ないことから、両変圧器を統合して低圧電灯3とすることで、電力消費量を削減することを提案。なお、両変圧器とも1990年製である。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。