株式会社ナサダ 本社工場様では、デマンド監視制御装置を既に導入し活用を始められていますが、エネルギー管理体制の構築や活動目標の設定などはこれからであり、現状はエネルギーの総量把握に留まっています。しかし、電気料金値上げの折り、会社トップの危機感も強く感じられ、この機会に社内全体に危機意識を浸透させエネルギー改善活動に取組むため、省エネ診断を受診されました。エネルギー使用状況では、98%を電気が占め、この内、工作機械が73%、コンプレッサ設備が17%と両者で9割を占めています。従って、電気の消費の多いコンプレッサ設備を主体に空調設備、照明設備などの省エネに関するご提案をしました。
内訳 | 電気 (千kWh/年) |
灯油 (kL/年) |
上水 (千m3/年) |
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改善前 | 2,946 | 18 | 3 |
改善後 | 2,663 | 18 | 3 |
提案1
コンプレッサ
コンプレッサの吐出圧力の低減
省エネ効果 | 7.7kL/年 |
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削減金額 | 406千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ |
キーワード
吐出圧力の低減
内容
工場には、37kW×2台、22kW×1台、15kW×4台のコンプレッサが設置されている。いずれも吐出圧力は、0.65Mpa前後で運転されている。使用先での所要圧力を確認しながら徐々に下げて電力消費量を削減することを提案。なお、吐出圧力を0.65Mpa→0.6Mpaに低減したとして電力消費量を試算。
提案2
照明
天井照明(水銀灯)消灯の徹底
省エネ効果 | 4.5kL/年 |
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削減金額 | 237千円/年 |
設備概要 | 照明 |
キーワード
その他(消灯の徹底)
内容
工場作業場の天井には、水銀灯(400W)が57台設置されている。作業場の明り取りからの採光がよい天井の照明が消灯されていない。晴天時には、消灯を徹底して電力消費量を削減することを提案。なお、全灯の20%を消灯可能として電力消費量を試算。
提案3
生産設備
工作機械用クーラントフィルタ他の清掃
省エネ効果 | 2.5kL/年 |
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削減金額 | 129千円/年 |
設備概要 | フィルタ |
キーワード
フィルタの清掃
内容
第1、2工場の工作機械用循環油冷却装置(クーラント)、制御盤及び大型扇風機などのフィルタが目詰まりしている。汚れにより、クーラントは冷却性能の低下による消費電力の増加、制御盤は電子機器の電力損失増加、発熱、大型扇風機は風量低下、消費電力の増加となるので、清掃により電力消費量を削減することを提案。
提案4
空調設備
空調機の設定温度の適正化
省エネ効果 | 1.2kL/年 |
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削減金額 | 63千円/年 |
設備概要 | 空調設備 |
キーワード
設定温度の適正化
内容
空調設備は、事務所、検査室、高精度加工室、詰所などに設置されている。省エネ推進には、社員の省エネ意識強化が重要、空調機設定温度の緩和の具体例を示して省エネ活動の推進の意識強化を図ることを目的として本事例を提案。「設定温度の緩和事例」として、パッケージエアコン25台(電気容量約60kW)を対象に冷房、暖房の設定温度を1℃緩和することで空調電力消費量を10%削減例を提示。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。
提案5
コンプレッサ
空気配管系統構成見直しによる運用の効率化
省エネ効果 | 37.5kL/年 |
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削減金額 | 2,170千円/年 |
設備投資額 | 3,000千円(回収1.4年) |
設備概要 | コンプレッサ |
キーワード
運用の効率化
内容
現在、コンプレッサ10基(定速機8台、インバータ機2台)が設置されている。これ等は3系統に分割設置され、夫々が独立して運用されている。圧縮機の負荷配分でみると、夫々の特性が生かされていない。即ち、定速機が部分負荷運転を担い、インバータ機が全負荷に近い運転をしている。この改善策として、先ず、3系統を連携する連携母管(80A)を増設して、圧縮機を台数制御運転(インバータ機で負荷調整)とすることで電力消費量を削減することを提案。
提案6
照明
高効率照明への更新
省エネ効果 | 11.8kL/年 |
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削減金額 | 620千円/年 |
設備投資額 | 3,780千円(回収6.1年) |
設備概要 | 照明 |
キーワード
高効率照明への更新
内容
従来型蛍光灯(FLR40W×2灯用及び1本用)が630台使用されている。これら従来型蛍光灯は消費電力が大きいので、消費電力の少ないLED直管型に更新して、電力消費量を削減することを提案。
提案7
コンプレッサ
コンプレッサのエア漏れの対策
省エネ効果 | 5.8kL/年 |
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削減金額 | 303千円/年 |
設備投資額 | 1,200千円(回収4.0年) |
設備概要 | コンプレッサ |
キーワード
圧力損失の低減、エア漏れ対策
内容
コンプレッサの配管系統は、敷設後長い年月を経過している。年月の経過とともに大きな力による変形やネジ類の緩み、腐食、劣化などによりエア漏れを起す。定期的にエア漏れ検査を行い、漏れを確認・補修して漏れを防止することで電力消費量を削減することを提案。ここでは、配管の小穴からの漏れを想定、漏れ箇所30ケ所、穴径1mm、漏れ量3.1m3/hでの漏れを防止した場合の省エネ効果を試算。
提案8
空調設備
空調室外機の日射対策
省エネ効果 | 1.2kL/年 |
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削減金額 | 64千円/年 |
設備投資額 | 200千円(回収3.1年) |
設備概要 | 空調設備 |
キーワード
室外機への散水、日射対策、移設
内容
日射の影響を受ける空調室外機は25台(消費電力74.1kW)ある。日射により周囲温度が高温になると、その空気を吸引することから効率が低下する。屋外機を遮光ネットなどで遮熱し空調効率の改善を図り電力消費量を削減することを提案。
提案9
換気設備
換気ファン制御装置の導入
省エネ効果 | 0.5kL/年 |
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削減金額 | 24千円/年 |
設備投資額 | 72千円(回収3.0年) |
設備概要 | 換気設備 |
キーワード
その他(換気ファン制御装置の導入)
内容
1F事務室、2F事務室、食堂に50Wの換気扇各1台が設置され執務時間帯に連続運転されている。換気扇の運転は、室内環境改善を目的に適切なCO2濃度で運用されるべきである。一方室内には、上部に開口部があり、換気扇の運転に伴い外気が侵入し空調熱負荷となる。そこで「換気扇コントローラ(S社)」を導入、設置して換気扇と室内環境に応じて自動運転することで、換気扇動力と空調機の熱負荷低減により電力消費量を削減することを提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。