S社様は、エネルギー管理体制を構築して省エネに積極的に取組み、国の方針に基づき省エネ目標値を設定して活動されています。省エネ例としては、加熱炉、リジェネ燃料の転換、自家発電機の導入による契約電力の低減(コストミニマム化)などが挙げられます。エネルギー使用状況では、購入電力が25%に対して燃料が75%です。燃料75%の内の2/3は、自家発に使用していることから電力の割合は約75%です。診断先よりご要望のありましたコンプレッサや照明の省エネ、デマンド監視制御装置の活用などを中心にご提案しました。
内訳 | 電気 (千kWh/年) |
都市ガス (千m3/年) |
LPG (千kg/年) |
A重油 (kL/年) |
灯油 (kL/年) |
軽油 (kL/年) |
上水 (千m3/年) |
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改善前 | 3,982 | 173 | 15 | 799 | 5 | 6 | 15 |
改善後 | 3,869 | 172 | 15 | 799 | 5 | 6 | 15 |
提案1
コンプレッサ
コンプレッサの吐出圧力の低減
省エネ効果 | 6.5kL/年 |
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削減金額 | 454千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ:55kW×1台、37kW×2台 |
キーワード
吐出圧力の低減
内容
工場には、55kW×1台と37kW×2台のコンプレッサが設置され、いずれも吐出圧力、0.68Mpaで運転されている。この吐出圧力は使用端圧力や配管などの圧力損失を考慮に入れても高いため、0.1Mpa下げて吐出圧力を0.58Mpaに低減することで、圧縮機の軸動力を下げ電力消費量を削減することを提案。
提案2
コンプレッサ
コンプレッサのエア漏れの対策
省エネ効果 | 5.6kL/年 |
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削減金額 | 397千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ |
キーワード
圧力損失の低減、エア漏れ対策
内容
コンプレッサの配管系統は、敷設後長い年月を経過している。年月の経過とともに大きな力による変形やネジ類の緩み、腐食、劣化などによりエア漏れを起す。特に末端のホースやエアガンの接続部、継手などに多い。定期的にエア漏れ検査を行い、漏れを確認・補修して漏れを防止することを提案。一般的に漏れ率は10%程度あるとされているので、10%として年間電力削減量を試算する。
提案3
デマンド管理
デマンド監視制御装置の活用による自家発電力の抑制(夜間)
省エネ効果 | 6.2kL/年 |
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削減金額 | 394千円/年 |
設備概要 | デマンド監視制御装置 |
キーワード
その他(デマンド制御装置の活用)
内容
現状の契約電力(購入電力最大値)は422kWである。「自家発電力+購入電力」の値は、24時間を通して422kWを超えるため、購入電力が最大値(422kW)以下となるよう自家発(750kW×2台)を運転して抑制している。購入電力単価が16.3円/kWh、自家発電単価が18.1円/kWhと自家発電の方が単価が高いことから、電力使用量の少ない夜間(21時~6時)は、自家発常時2台運転を1台に減らし、その分、単価の安い購入電力を増加させ総合的にコスト低減することを提案。この調整をデマンド監視制御装置の機能を活用して実施する。
提案4
コンプレッサ
台数増加による台数制御運転で運転時間短縮
省エネ効果 | 3.7kL/年 |
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削減金額 | 260千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ |
キーワード
その他(運転の効率化)
内容
従来、コンプレッサの系統には、55kW×1台と37kW×2台の台数制御運転機と37kW×1台の単独運転機が設置されているが、連絡弁が閉じられ夫々独立して運転していた。今回、この連絡弁を開き4台の台数制御運転に見直すことで、37kWコンプレッサの運転時間が約20%短縮されることになる。この運転時間の減少により電力消費量を削減することを提案。
提案5
ボイラ
蒸気ボイラの空気比の適正化
省エネ効果 | 1.4kL/年 |
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削減金額 | 105千円/年 |
設備概要 | ボイラ |
キーワード
空気比の適正化
内容
現在、蒸気ボイラが運転されているが、ボイラのばい煙測定データがない。設置当時のまま調整されていないので、空気比が適正値(空気比=1.3)より多少増加しているものと思われる。そこで、空気比=1.5と想定し、0.2下げ適正値とすることでボイラ燃料(都市ガス)を削減することを提案。なお燃焼用空気を必要以上に供給すると、排ガス量が増えるとともに燃料消費量が増加するので、空気量を適正値に保つことが必要。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。
提案6
照明
高効率照明への更新
省エネ効果 | 3.5kL/年 |
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削減金額 | 245千円/年 |
設備投資額 | 2,652千円(回収10.8年) |
設備概要 | 照明 |
キーワード
高効率照明への更新
内容
①工場作業場の天井に水銀灯(400W)10台が取付けられている。更に効率のよいハロゲンランプ(250W)10台(ランプのみ)に交換。②従来型蛍光灯(FLR40W×2灯用)216台を効率のよいHf蛍光灯(FHR32W×2灯用)に更新。①、②を実施することにより電力消費量を削減することを提案。
提案7
照明
不要時消灯の徹底
省エネ効果 | 1.8kL/年 |
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削減金額 | 133千円/年 |
設備投資額 | 100千円(回収0.8年) |
設備概要 | 照明 |
キーワード
不要照明の消灯(昼休み時の消灯)
内容
①工場内には、水銀灯1,000W×83台、400W×22台が設置されている。執務者や作業者が居ない、作業や運転がない、外光で十分明るいなど消灯が可能と思われるエリアの水銀灯は1,000W×10台、400W×5台ある。②事務室、会議室及び付属室に設置されている蛍光灯(FLR40W×2灯用)は216台あり、その内の30台が消灯可能と思われる。①、②の消灯を徹底することにより電力消費量を削減することを提案。
提案8
受変電設備
高効率変圧器への更新
省エネ効果 | 1.7kL/年 |
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削減金額 | 120千円/年 |
設備投資額 | 2,240千円(回収18.7年) |
設備概要 | 変圧器 |
キーワード
高効率変圧器への更新
内容
受変電設備として油入り3Φー750kVA変圧器1台が設置されている。設置後25年を経過し変圧器の寿命30年に近づいていること。また、当時の変圧器は損失も多いことから高効率変圧器に更新して電力消費量を削減することを提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。