H株式会社様では、毎月個別検討会を開催し、工程別のエネルギー原単位の推移や検討を行うとともに、11グループによる小集団活動を主体とした省エネ推進を実施されています。今回、コンプレッサ、冷凍機、ボイラの効率的運用を進めるために受診されました。現状のエネルギー消費は、熱量比率でみると、電力が49%、燃料が51%であり、電力対策としてデマンド監視制御装置の活用、変圧器の統合やコンプレッサ吐出圧の低減、また、燃料対策として蒸気配管・バルブの保温や蒸気圧の低減などをご提案しました。
内訳 | 電気 (千kWh/年) |
A重油 (kL/年) |
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改善前 | 2,000 | 490 |
改善後 | 1,926 | 455 |
提案1
デマンド管理
デマンド監視制御装置の活用
省エネ効果 | ― |
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削減金額 | 924千円/年 |
設備概要 | デマンド管理 |
キーワード
デマンド監視制御装置の活用(日負荷線図の活用を含む)
内容
デマンド監視装置を活用してピーク電力を監視し、設定値に近づいた場合には予め定めた機器を停止することによりピーク電力を抑制し、契約電力を低減(850kW→800kW)することを提案。
提案2
ボイラ
ボイラ蒸気圧の低減
省エネ効果 | 7.3kL/年 |
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削減金額 | 579千円/年 |
設備概要 | ボイラ(2t/h、5台) |
キーワード
蒸気圧力の適正化
内容
蒸気は0.80MPa-Gで製造されている。一方、蒸気の需要先での必要圧は0.60MP-G以下である。ボイラでの製造圧を0.15MPaだけ下げ、A重油消費量を削減することを提案。
提案3
コンプレッサ
コンプレッサ吐出圧力の低減
省エネ効果 | 5.1kL/年 |
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削減金額 | 316千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ:5台、合計70kW |
キーワード
吐出圧力の低減
内容
圧縮空気は、現状0.7MPa-Gの吐出圧力で供給されているが、需要先での使用圧力には余裕がある。そこで、吐出圧力を0.6MPa-Gまで0.1MPaだけ下げ、電力消費量を削減することを提案。
提案4
ボイラ
ボイラ空気比の適正化
省エネ効果 | 3.6kL/年 |
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削減金額 | 289千円/年 |
設備概要 | ボイラ(2t/h、5台) |
キーワード
空気比の適正化
内容
現状のボイラ(年間燃料消費量は390kL)の排ガス酸素濃度は6.0%(空気比として1.4)であり、省エネ法の判断基準による目標空気比の1.25に比べ調整の余地がある。空気比を1.25まで適正化することで0.9%の省エネが図られることから、空気比調整によりA重油消費量を削減することを提案。
提案5
冷凍冷蔵設備
冷凍機冷水温度の変更
省エネ効果 | 3.0kL/年 |
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削減金額 | 186千円/年 |
設備概要 | 冷凍冷蔵設備 |
キーワード
設定温度の適正化
内容
各工程で冷凍機が使用されている。冷水出口温度が高いほど圧縮機動力は少なくて済む。盛夏期を除き冷水出口温度を7℃から9℃に高くすることで、電力消費量(現状の年間電力消費量は150千kWh、冷水出口温度見直し後の電力量削減率は7.7%)を削減することを提案。
提案6
コンプレッサ
コンプレッサのエア漏れ防止
省エネ効果 | 1.9kL/年 |
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削減金額 | 118千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ:5台、合計70kW |
キーワード
圧力損失の低減、エア漏れ対策
内容
現状工場において、配管ホース継手からの漏れが見受けられた。そこで、一般的な工場での漏れ率を適用し、漏れ対策により電力使用量の削減を提案。(現状の漏れ率10%→対策後の漏れ率2%、コンプレッサの年間電力消費量250千kWh)
提案7
照明
不使用時消灯
省エネ効果 | 1.3kL/年 |
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削減金額 | 79千円/年 |
設備概要 | 照明:FLR40W、合計13kW |
キーワード
その他(不使用時消灯)
内容
圧搾場、倉庫に設置されている蛍光灯器具について、作業者がいないときは消灯することで、消費電力を年間5,000kWh削減することを提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。
提案8
蒸気配管
蒸気配管・バルブの保温
省エネ効果 | 24.3kL/年 |
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削減金額 | 1,927千円/年 |
設備投資額 | 1,780千円(回収0.9年) |
設備概要 | 蒸気配管 |
キーワード
保温対策
内容
現状、蒸気配管(蒸気圧力は0.80MPa-G)のバルブ、フランジと配管の一部に保温がされていない。バルブと配管に40mmの保温を施工することで、蒸気配管・バルブ表面からの熱放散を年間で800GJ削減し、A重油消費量を削減することを提案。
提案9
受変電設備
変圧器の統合
省エネ効果 | 6.4kL/年 |
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削減金額 | 396千円/年 |
設備投資額 | 75千円(回収0.2年) |
設備概要 | 受変電設備:3φ・500kVA、3台 |
キーワード
変圧器の統合
内容
動力用変圧器3台は10~25%の低負荷状態にある。500kVA1台に統合することにより、変圧器損失を低減し、消費電力を年間25,000kWh削減することを提案。
提案10
照明
水銀灯をセラミックメタルハライドランプに交換
省エネ効果 | 1.4kL/年 |
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削減金額 | 89千円/年 |
設備投資額 | 630千円(回収7.1年) |
設備概要 | 照明:400W、14灯 |
キーワード
高効率照明への更新
内容
圧搾場と仕入場の400W水銀灯14灯を同程度のランプ光束を持つ190Wセラミックメタルハライドランプに交換し、消費電力を削減することを提案。
提案11
生産設備
予熱缶の保温
省エネ効果 | 0.3kL/年 |
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削減金額 | 24千円/年 |
設備投資額 | 96千円(回収4.0年) |
設備概要 | 生産設備、予熱缶 |
キーワード
保温対策
内容
予熱缶天井面の表面温度は90℃と高く放散熱損失が発生している。予熱缶天井面(4.8m2)に25mmの保温を施工し、缶体表面からの熱放散を現状の12GJ/年から2GJ/年までに削減し、A重油消費量を削減することを提案。(なお、缶体外部に保温を行うと金属製外板の温度は保温前に比べ高温となるため、実施に際しては耐熱強度と熱伸び対策の確認が必要である。)
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。