山陽精機株式会社様では、不要な空調の停止、不要な照明の消灯などの省エネ対策を実施されています。今回省エネを更に進めるためのきっかけとして受診されました。現状のエネルギー使用状況は、電力消費のみでほぼ100%を占めています。その主たる設備は、コンプレッサ、工作機械、成型機、放電加工機、ヒートポンプエアコン、照明、ファン・ポンプなどです。特にコンプレッサの消費が多く、コンプレッサの係る各種省エネ、工作機械のポンプ類へのインバータ化、デマンド監視制御装置の導入、診断先からの要望を踏まえ成型機などの保温対策をご提案しました。
内訳 | 電気 (千kWh/年) |
灯油 (kL/年) |
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改善前 | 1,080 | 0 |
改善後 | 850 | 0 |
提案1
コンプレッサ
コンプレッサ 吐出圧力の低減
省エネ効果 | 3.6kL/年 |
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削減金額 | 227千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ |
キーワード
吐出圧力の低減
内容
コンプレッサ37kW×1台が運転されている。吐出圧力は、0.77Mpaである。現場の配管類の圧損や使用端圧力が不明であるため、吐出圧力低減目標値を0.1Mpa下げ0.67Mpaと定め、段階的に低減しながら目標値まで下げ、支障のないことを確認して実施する。支障のある場合には増圧弁などで対処する。吐出圧力を0.67Mpaとすることで圧縮機の軸動力を低減、電力消費量を削減することを提案。
提案2
コンプレッサ
コンプレッサ エア漏れの対策
省エネ効果 | 2.5kL/年 |
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削減金額 | 156千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ |
キーワード
圧力損失の低減、エア漏れ対策
内容
コンプレッサ37kWインバータ機×1台が常時運転している。その配管系統は、年月の経過とともに大きな力による変形やネジ類の緩み、腐食、劣化などによりエア漏れを起す。特に末端のホースやエアガンの接続部、継手などに多い。定期的にエア漏れ検査を行い、漏れを確認・補修し、漏れを防止することを提案。なお、一般的に漏れ率は10%程度あるとされるので、10%として電力削減量を試算した。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。
提案3
コンプレッサ
コンプレッサ予備機の停止
省エネ効果 | 28.2kL/年 |
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削減金額 | 1,787千円/年 |
設備投資額 | 200千円(回収0.1年) |
設備概要 | コンプレッサ |
キーワード
非生産(不要)時・休日にコンプレッサを停止・削減
内容
コンプレッサ37kW(常用機)と22kW(予備機)の2台が設置されている。通常は常用機だけの運転で負荷量を賄うことができるが、緊急時(常用機の故障などによる空気圧力の低下)の対策として、予備機のアンロード運転を行っている。今回、コンプレッサ出口の空気槽に圧力スイッチを取り付け、圧力低下時はスイッチを作動させ予備機を起動する。この予備機の停止により電力消費量を削減することを提案。
提案4
生産設備
ポンプ類へインバータの導入
省エネ効果 | 17.1kL/年 |
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削減金額 | 1,082千円/年 |
設備投資額 | 2,765千円(回収2.6年) |
設備概要 | ポンプ |
キーワード
インバータの導入
内容
①射出成型機用冷却水ポンプ(3.7kW×1台):冷却水送水量を50%削減。②マシングセンタークーランドポンプ(切削水ポンプ)5.5kW,3.7kW各1台:切削水流量を10%削減。③マシニングセンター油圧ポンプ(3.7kW×4台):作動油量を約10%削減。①、②、③の各ポンプ類にインバータを導入し、回転数制御で適正な流量に下げ、モーターの軸動力の低減により電力消費量を削減することを提案。
提案5
デマンド管理
デマンド監視制御装置の導入による契約電力の低減
省エネ効果 | ー |
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削減金額 | 290千円/年 |
設備投資額 | 400千円(回収1.4年) |
設備概要 | デマンド |
キーワード
デマンド監視制御装置の導入(電気使用量の見える化装置の導入を含む)
内容
現在の契約電力は259kWである。最大電力は8月、9月に発生している、その要因は、期末で生産負荷が増え稼動設備の増大によるものと想定される。最大電力の低減目標を235kWと定め、この値に近づいたら、デマンド監視制御装置から警報を出力させ、予め定めた遮断可能な負荷(空調機、照明)の電源オフして最大電力を抑制することで、契約電力を、259kW→235kWへ24kW低減することを提案。
提案6
照明
水銀灯をセラミックハライドランプへ交換
省エネ効果 | 3.2kL/年 |
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削減金額 | 203千円/年 |
設備投資額 | 810千円(回収4.0年) |
設備概要 | 照明 |
キーワード
高効率照明への更新
内容
水銀灯(400W×18台)が使用されているが、消費電力が大きい。同じ光束でも消費電力の少ないセラミックメタルハライドランプに交換して電力消費量を削減することを提案。なお、ここでは安定器、ランプ、セード(反射笠)を交換する。
提案7
生産設備
射出成形機シリンダーの保温対策
省エネ効果 | 2.4kL/年 |
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削減金額 | 151千円/年 |
設備投資額 | 450千円(回収3.0年) |
設備概要 | 射出成形機 |
キーワード
保温対策
内容
樹脂射出成形機(3台)のシリンダ表面温度は、200℃~300℃あるが、保温されていないため放散熱量が大きい。シリンダ表面を保温施工し表面温度を約80℃に下げ、ヒーターの消費電力を下げて電力消費量を削減することを提案。(また、これにより空調の熱負荷の軽減効果も期待できる。)
提案8
生産設備
マシニングセンター排気ダクト保温による空調機の熱負荷低減
省エネ効果 | 1.8kL/年 |
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削減金額 | 113千円/年 |
設備投資額 | 300千円(回収2.7年) |
設備概要 | 排気ダクト |
キーワード
保温対策
内容
マシニングセンター廃熱排気ダクト内の温度は約55℃であるが、ダクトは断熱施工されていないため、この熱が放熱され室内温度が約28℃となり空調機の熱負荷となっている。ダクトの断熱を行い、熱負荷を抑制することで空調機(エアコン)の電力消費量を削減することを提案。
提案9
その他
自動販売機の電源遮断(平日夜間、休日)
省エネ効果 | 0.4kL/年 |
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削減金額 | 27千円/年 |
設備投資額 | 12千円(回収0.4年) |
設備概要 | 自動販売機 |
キーワード
その他(利用者不在時間帯の電源OFF)
内容
工場内に自動販売機2台(消費電力1,678kWh/年・台)が設置され、年間を通して電源が入っている。平日夜間や休日などの利用者不在時間帯に、タイマーを作動させて電源を遮断して電力消費量を削減することを提案。なお、実施に当たっては、温度変化が内容物の品質や味などに影響を与えるか否かを業者に確認することとする。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。