株式会社高橋鋳造所様では、エネルギー使用量のうち電力使用量が99%を占め、かつその大部分が低周波誘導炉で消費されています。これまでも様々な省エネ対策を実施されていましたが、新たな視点での省エネ対策を希望されました。診断の結果、低周波誘導炉の立ち上げ時間短縮、蓋の開閉時間短縮、保温の強化、集塵機用ファンや冷却水ポンプ・油圧ポンプ・ミックスマラーへのインバータ導入、高効率照明への交換など等をご提案しました。
内訳 | 電気 (千kWh/年) |
LPG (千kg/年) |
灯油 (kL/年) |
B重油 (kL/年) |
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改善前 | 3,500 | 3 | 3 | 3 |
改善後 | 3,135 | 3 | 3 | 3 |
提案1
コンプレッサ
エア漏れ量の低減
省エネ効果 | 8.2kL/年 |
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削減金額 | 494千円/年 |
設備概要 | コンプレッサ(37kW×3台) |
キーワード
圧力損失の低減、エア漏れ対策
内容
長期連休にエア漏れ量の定期的な測定および漏れ箇所の巡回点検を全設備で実施することにより、エア漏れ量を削減し、コンプレッサの電力消費量を削減することを提案。
提案2
工業炉
低周波誘導炉の立ち上げ時間の見直し
省エネ効果 | 24.9kL/年 |
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削減金額 | 1,490千円/年 |
設備概要 | 低周波誘導炉(860kW/h) |
キーワード
予熱時間の短縮
内容
低周波誘導炉は現在30分で立ち上がるが、立ち上げ操作が煩雑のため1時間前に立ち上げている。立ち上げ操作を標準化して30分前に立ち上げることにより、電力消費量を削減することを提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。
提案3
工業炉
低周波誘導炉の蓋開閉時間の見直し
省エネ効果 | 12.7kL/年 |
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削減金額 | 763千円/年 |
設備投資額 | 100千円(回収0.1年) |
設備概要 | 低周波誘導炉(860kW/h) |
キーワード
排熱漏れ対策
内容
低周波誘導炉は湯を排出した後、4回に分けて材料を炉に投入している。その間炉の蓋は開状態になっている為、大変大きな熱を大気に放出している(炉の温度1,450℃、蓋の表面温度250℃)。炉の蓋の開閉スイッチを遠隔化し、材料投入の短い時間のみ蓋を開とすることで、炉からの放散熱量を削減することを提案。
提案4
工業炉
低周波誘導炉の保温対策
省エネ効果 | 6.8kL/年 |
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削減金額 | 406千円/年 |
設備投資額 | 200千円(回収0.5年) |
設備概要 | 低周波誘導炉(860kW/h) |
キーワード
保温対策、熱ロスの低減
内容
低周波誘導炉の本体上部及び蓋(表面積1.88m2)は耐火レンガで保温してあるが、表面温度が250℃あり保温は不十分。セラミックファイバー等で保温を強化することにより炉の放散熱量を削減(10.41kW→3.84kW)することを提案。
提案5
コンプレッサ
吐出圧力の低減
省エネ効果 | 4.1kL/年 |
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削減金額 | 247千円/年 |
設備投資額 | 300千円(回収1.2年) |
設備概要 | コンプレッサ(37kW×3台) |
キーワード
吐出圧力の低減
内容
現在、吐出圧力は平均0.59MPaで運転されている。現場の圧力は生産装置の必要圧力0.5MPaに対して0.55MPaであり、余裕がある。またメイン配管をループ化することにより配管の圧力損失を下げエア、コンプレッサの吐出圧力を0.04MPa下げることで、エアコンプレッサの電力消費量を低減することを提案。
提案6
コンプレッサ
吸気温度の低減
省エネ効果 | 2.7kL/年 |
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削減金額 | 165千円/年 |
設備投資額 | 400千円(回収2.4年) |
設備概要 | コンプレッサ(37kW×2台) |
キーワード
吸気温度の低減
内容
コンプレッサの排気は室内に直接排気されている為、エアコンプレッサ室は45℃になっていた。排気をダクトで屋外に排出することにより室内の空気温度を下げ、コンプレッサの効率低下を防ぐことを提案。
提案7
冷却設備
ポンプへのインバータ導入
省エネ効果 | 1.9kL/年 |
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削減金額 | 113千円/年 |
設備投資額 | 500千円(回収4.4年) |
設備概要 | ポンプ(3.7kW×1台) |
キーワード
インバータの導入
内容
冷却水ポンプは炉の冷却のため、24時間連続運転されている。炉は夜間保温状態になり、冷却水量を絞ることが出来る。また中間期・冬期は冷却水水温が下がるため、冷却水量を絞ることが出来る。夜間と中間期・冬期はインバータにより冷却水量を絞り、ポンプの電力消費量を削減することを提案。
提案8
冷却設備
水槽の温度制御化
省エネ効果 | 0.9kL/年 |
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削減金額 | 51千円/年 |
設備投資額 | 200千円(回収3.9年) |
設備概要 | ポンプ(5.5kW×1台) |
キーワード
制御法改善
内容
現在、冷却水槽には井水を常時入れ冷却水を冷却している。冷却水槽の水温により井水の入れる量を制御することにより井水の使用量を削減し、井水ポンプの電力消費量を削減することを提案。
提案9
生産設備
集塵装置のファンへのインバータ導入
省エネ効果 | 7.3kL/年 |
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削減金額 | 436千円/年 |
設備投資額 | 740千円(回収1.7年) |
設備概要 | ファン(18.5kW×1台) |
キーワード
インバータの導入
内容
ドラムショット用集塵装置は風量を吐出側でダンパを50%に絞っているため、ファン駆動力の損失が大きい。ダンパは全開にし、風量をインバータで減少することで電力消費量を削減することを提案。
提案10
生産設備
油圧ポンプへのインバータ導入
省エネ効果 | 11.1kL/年 |
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削減金額 | 664千円/年 |
設備投資額 | 2,250千円(回収3.4年) |
設備概要 | ポンプ(45kW×1台) |
キーワード
インバータの導入
内容
造型機の油圧ポンプは1サイクル4分で5秒の最大油圧に対応出来る様に容量が選定してあり、待機時は油圧ポンプを連続運転し逃し弁でバイパスさせている。インバータで油量を制御することにより電力消費量を削減することを提案。
提案11
生産設備
混練機へのインバータ導入
省エネ効果 | 6.4kL/年 |
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削減金額 | 385千円/年 |
設備投資額 | 2,150千円(回収5.6年) |
設備概要 | ミックスマラー(55kW×1台) |
キーワード
インバータの導入
内容
ミックスマラー(混練機)の負荷は常時100%ではなく、平均70%の負荷で運転されている。負荷によりインバータで回転数を制御することにより、機器の電力消費量を削減することを提案。
提案12
照明
高効率照明への交換
省エネ効果 | 5.4kL/年 |
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削減金額 | 320千円/年 |
設備投資額 | 1,359千円(回収4.2年) |
設備概要 | 水銀灯、白熱灯、蛍光灯→セラメタH、Hf蛍光灯、LED灯 |
キーワード
高効率照明への更新
内容
現状 | 更新案 | 台数 | 投資 (千円) |
効果 (千円/年) |
回収年数 |
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水銀灯415W | セラメタH190W | 20 | 800 | 175 | 4.6 |
投光器の白熱灯300W | 蛍光灯54W | 5 | 50 | 76 | 0.7 |
工場の蛍光灯96W | Hf蛍光灯32W | 9 | 171 | 36 | 4.8 |
事務所の蛍光灯96W | LED灯44W | 13 | 338 | 33 | 10.1 |
提案13
受変電設備
変圧器の高効率化
省エネ効果 | 1.4kL/年 |
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削減金額 | 85千円/年 |
設備投資額 | 1,000千円(回収11.8年) |
設備概要 | 変圧器(3φ、100kVA×1台) |
キーワード
高効率変圧器への更新
内容
30年以上経過した変圧器は損失が大きく本体の劣化も懸念されるため、損失の少ない高効率のトップランナー変圧器へ取替えることを提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。