香川シームレス株式会社 土器川工場 様では、省エネ対策として高効率ボイラへの更新や廃熱回収装置の導入等を実施されています。今回は、廃熱回収や空調機を中心に全般的な省エネ診断を希望されました。診断の結果、蒸気ドレンや温水廃熱回収によるボイラ給水加熱、給水加熱装置へのヒートポンプ導入、高効率空調機への更新、曝気用ブロワのインバータ化等を提案しました。
内訳 | 電力 (千kWh/年) |
LPG (t/年) |
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改善前 | 810 | 510 |
改善後 | 811 | 468 |
区別 | 経済産業省 |
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補助金名称 | エネルギー使用合理化事業者支援事業 |
受給年度 | 平成23年度 |
補助対象設備 | 高効率ボイラ設備 |
区別 | 経済産業省 |
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補助金名称 | 中小企業等の省エネ・生産性革命投資促進事業費補助金 |
受給年度 | 平成27年度補正予算 |
補助対象設備 | 高効率空調設備 |
提案1
空調設備
高効率パッケージエアコンへの更新
省エネ効果 | 3.5 kL/年 |
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削減金額 | 232 千円/年(LPG減431千円/年 - 電力増199千円/年) |
設備投資額 | 3,000 千円(回収:12.9年) |
設備概要 | 空調機(1台、能力52kW、冷房COP:2.9、暖房はボイラ蒸気)→空調機(1台、能力52kW、冷/暖房COP:3.3/3.4) |
キーワード
高効率空調機への更新
内容
A室、B室のパッケージエアコンは設置後28年経過し、老朽化している。また、暖房は蒸気で行っているが、蒸気は熱効率がヒートポンプ(HP)に比べ悪い。最新の高効率の冷暖房パッケージエアコンに更新し、省エネを図ることを提案。蒸気暖房の電動HP化のため、電力消費量は増えるが燃料(LPG)使用量が無くなるため、全体では省エネとなる。
提案2
ボイラ
温水廃熱回収によるボイラ給水加熱
省エネ効果 | 12.7 kL/年 |
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削減金額 | 915 千円/年 |
設備投資額 | 1,000 千円(回収:1.1年) |
設備概要 | ボイラ(3台、2.5t/h/台) |
キーワード
他設備の廃熱回収によるボイラ給水加熱
内容
染色機からの温水廃熱で井水を加熱して温水タンクに貯湯し、染色機の加熱器で再利用しているが、余剰分は放流(オーバーフロー)している。このオーバーフロー温水をボイラ給水加熱に利用(27→43°C)し、ボイラ燃料を削減(▲1.9%)することを提案。
提案3
蒸気仕様設備
蒸気ドレンからの熱回収によるボイラ給水加熱
省エネ効果 | 16.1 kL/年 |
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削減金額 | 1,167 千円/年 |
設備投資額 | 5,000 千円(回収:4.3年) |
設備概要 | ボイラ(3台、2.5t/h/台) |
キーワード
蒸気ドレンの回収利用
内容
染色機の蒸気ドレンからの廃熱回収によりボイラ給水を加熱(27→49°C)し、ボイラ燃料を削減(▲2.4%)することを提案。
提案4
コンプレッサ
インバータ制御型スクリューコンプレッサへの更新
省エネ効果 | 3.5 kL/年 |
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削減金額 | 276 千円/年 |
設備投資額 | 2,000 千円(回収:7.2年) |
設備概要 | スクリューコンプレッサ(1台、22kW、ロード・アンロード制御)、レシプロコンプレッサ(2台、7.5kW/台、on/off制御)→インバータ制御型スクリューコンプレッサ(1台、22kW) |
キーワード
高効率コンプレッサへの更新
内容
スクリューコンプレッサ1台、レシプロコンプレッサ2台は導入後30年程度経過し、劣化が進んでいると推定される。最新の高効率のインバータ制御型スクリューコンプレッサに更新し、電力消費量を削減することを提案。更新後は、既存機を予備とする。
(注)従来型の吸込み弁絞り方式コンプレッサは、風量が減り吐出圧力が上昇すると、吸込弁を絞って圧力を制御するため消費動力の減り方が少ない。インバータ制御型は、流量に応じて吐出圧力を一定に保つように回転数を制御するため、消費動力が流量に相応して減少し、従来型に比べ省エネ効果が大きい。
提案5
排水処理設備
曝気用ブロワのインバータ化
省エネ効果 | 4.4 kL/年 |
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削減金額 | 355 千円/年 |
設備投資額 | 300 千円(回収:0.8年) |
設備概要 | ルーツブロワ(2台、15kW/台) |
キーワード
曝気ブロワの回転数低減(インバータ化)
内容
排水処理場の曝気用ブロワ2台は、処理量に関わらず交互に24時間連続運転されている。インバータを導入して処理量(稼働日)に応じた運転(休日の風量を低減:▲30%)とし、ブロワの電力消費量を削減することを提案。
(注)曝気槽内汚水のDO値(Dissolved Oxygen:溶存酸素量)を連続測定し、その数値を基準にブロワを回転数制御することで大幅な省エネが期待できる。
提案6
生産設備
ヒートポンプ導入による給水加熱
省エネ効果 | 7.1 kL/年 |
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削減金額 | 661 千円/年(LPG減1,444千円/年 - 電力増783千円/年) |
設備投資額 | 7,500 千円(回収:11.3年) |
設備概要 | ヒートポンプ(加熱能力:65kW、COP:3.9) |
キーワード
ヒートポンプ導入による給水加熱
内容
染色機用加熱装置では、オーバーフロー温水から回収した廃熱で給水加熱(井水→45°C)している。この給水加熱装置にヒートポンプ(HP)を導入して温水の更なる加熱(45→60°C)を行い、加熱用の蒸気使用量を削減することを提案。
提案7
LPG気化設備
温水廃熱によるLPGの気化
省エネ効果 | 1.9 kL/年 |
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削減金額 | 154 千円/年 |
設備投資額 | 700 千円(回収:4.5年) |
設備概要 | LPG気化設備(電力消費量:約7.5千kWh/年) |
キーワード
LNG気化設備の加熱方法改善
内容
ボイラ燃料のLPGは3トンタンクで受け入れ、電気ヒータで気化している。そこで、オーバーフロー温水で気化し、気化器の電力消費量を削減することを提案。
(注)実施に当たっては、LPG供給業者との詳細検討が必要。
提案8
照明
照明及び誘導灯のLED化
省エネ効果 | 3.6 kL/年 |
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削減金額 | 292 千円/年 |
設備投資額 | 2,340 千円(回収:8年) |
設備概要 | 蛍光灯、蛍光灯型誘導灯→LED灯、LED誘導灯 |
キーワード
高効率照明への更新 誘導灯の高効率化更新
内容
工場内の蛍光灯を直管型LED灯に交換(器具をそのまま活用)、蛍光灯型誘導灯をLED誘導灯に更新し、電力消費量を削減することを提案。
現状 | 更新案 | 台数 | 効果金額 (千円) |
投資金額 (千円) |
回収 年数 |
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①蛍光灯(110W/台) | LED灯(50W/台) | 16 | 63 | 480 | 7.6 |
②蛍光灯(40W/台) | LED灯(20W/台) | 89 | 125 | 712 | 5.7 |
③蛍光灯型誘導灯 (両面、20W/台) |
LED誘導灯(3.6kW/台) | 10 | 31 | 400 | 12.7 |
④蛍光灯型誘導灯 (片面、20W/台) |
LED誘導灯(2.7kW/台) | 22 | 73 | 748 | 10.3 |
計 | 137 | 292 | 2,340 | 8.0 |
提案9
変圧器
高効率変圧器への更新
省エネ効果 | 1.6 kL/年 |
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削減金額 | 126 千円/年 |
設備投資額 | 1,650 千円(回収:13.1年) |
設備概要 | 変圧器(2台:3φ6.6kV 500kVA、1φ6.6kV 50kVA) |
キーワード
高効率変圧器への更新
内容
受電用変圧器は設置後30年以上経過し、更新検討の時期にきている。最新の高効率トップランナー変圧器に更新し、電力損失を低減することを提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。