S工業株式会社様は、エネルギー管理体制を構築して省エネに取組まれています。既に空調の設定温度の見直し、不要な空調の停止や不要な照明の消灯など運用に係る省エネを実施されています。エネルギー使用状況では、全使用量の99%を購入電力で占めています。その要因は、工作機械とコンプレッサの高稼働率にあります。生産に不可欠な工作機械を除くと、コンプレッサと照明が主な省エネ対象となることから、この省エネ提案に加え空調設備や洗浄機の省エネをご提案しました。
内訳 | 電気 (千kWh/年) |
灯油 (kL/年) |
上水 (千m3/年) |
工業用水 (千m3/年) |
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改善前 | 10,007 | 14 | 1 | 5 |
改善後 | 9,425 | 9 | 1 | 5 |
提案1
コンプレッサ
コンプレッサの台数制御
省エネ効果 | 45.1kL/年 |
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削減金額 | 2,122千円/年 |
設備投資額 | 4,000千円(回収1.9年) |
設備概要 | コンプレッサ:75kW×6台 |
キーワード
台数制御
内容
空冷スクリューコンプレッサ75kW×6台(インバータ機×2台、定速機×4台)が同時運転している。定速機は、100%定格時が最も効率がよい、またインバータ機は、負荷変動に追従した効率的な運転できる。この両者の夫々の特性を生かして「インバータ機+定速機」の組合せで台数制御による理想的な運転として電力消費量を削減することを提案。
提案2
照明
高効率照明への更新
省エネ効果 | 41.8kL/年 |
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削減金額 | 1,969千円/年 |
設備投資額 | 7,752千円(回収3.9年) |
設備概要 | 照明 |
キーワード
高効率照明への更新
内容
①天井水銀灯(1000W×42台)を高輝度LED電球へ交換。②工場及び事務室の蛍光灯管(FHF40W2灯用×182台)をLED管(182台)へ交換。なお、安定器のバイパス配線とランプの交換を行い、灯具は既設を流用。③事務所、工場のトイレの蛍光灯器具(FLR40W1灯用)16台を人感センサ付きLED電球灯具24台に交換。以上に示すようにLED化により電力消費量を削減することを提案。
提案3
コンプレッサ
コンプレッサのエア漏れの対策
省エネ効果 | 28.2kL/年 |
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削減金額 | 1,326千円/年 |
設備投資額 | 1,800千円(回収1.4年) |
設備概要 | コンプレッサ 75kW×6台 |
キーワード
圧力損失の低減、エア漏れ対策
内容
コンプレッサ75kW×6台の空気配管系統がある。一般に配管系統は、年月の経過とともに大きな力による変形やネジ類の緩み、腐食、劣化などによりエア漏れを起す。今回のエア漏れは末端のアクチュエータ部分と思われる。定期的にエア漏れ検査を行い、漏れを確認・補修し、漏れを防止することを提案。なお、一般的に漏れ率は10%程度あるとされるので、10%として電力削減量を試算。
提案4
照明
蛍光灯器具に個別スイッチの設置
省エネ効果 | 15.5kL/年 |
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削減金額 | 728千円/年 |
設備投資額 | 300千円(回収0.4年) |
設備概要 | 照明 |
キーワード
個別スイッチ設置
内容
工作機械ラインの蛍光灯器具(FHF40W×2灯用)の1/2(150台)に個別スイッチを設置し、必要時(工具交換、測定など)のみ点灯して電力消費量を削減することを提案。なお残りの1/2は、LED管化して常時点灯する。(提案2-②参照)
提案5
コンプレッサ
コンプレッサの吸気温度の低減
省エネ効果 | 11.9kL/年 |
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削減金額 | 561千円/年 |
設備投資額 | 1,200千円(回収2.1年) |
設備概要 | コンプレッサ |
キーワード
吸気温度の低減
内容
コンプレッサ室(75kW×4台)の排気ダクトは、下向きで屋外へ排気している。吸気口は、排気ダクトの直下にあるガラリーであるため、排気混じりの熱風を大量に吸い込んでいる。このためコンプレッサ室はかなり高温状態にある。排気ダクトを改良(上向き)して吸気温度を下げて圧縮機の軸動力を低減、電力消費量を削減することを提案。
提案6
コンプレッサ
コンプレッサ排気の暖房利用
省エネ効果 | 4.6kL/年 |
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削減金額 | 385千円/年 |
設備投資額 | 2,000千円(回収5.2年) |
設備概要 | コンプレッサ |
キーワード
その他(排気の暖房利用)
内容
冬季には、工場内暖房用として灯油炊きヒータを使用している。コンプレッサ(75kW×2台)の排気(温度30℃)を工場内に導き暖房に活用して灯油使用量を削減することを提案。なおコンプレッサは、対象工場に隣接している北側1階の75kW×2台とする。
提案7
生産設備
洗浄機の保温対策
省エネ効果 | 6.1kL/年 |
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削減金額 | 287千円/年 |
設備投資額 | 480千円(回収1.7年) |
設備概要 | 洗浄機 |
キーワード
保温対策
内容
洗浄機(16台)は、電気ヒータにより洗浄水を加温している。洗浄水の入った容器(容器内温度50℃)の外周部をグラスウール(厚さ25mm)で保温施工して、電気ヒータの電力消費量を削減することを提案。
提案8
空調設備
空調室外機への散水
省エネ効果 | 0.7kL/年 |
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削減金額 | 153千円/年 |
設備投資額 | 510千円(回収3.3年) |
設備概要 | 空調設備 |
キーワード
室外機への散水、日射対策、移設
内容
工場の東側と南側の空調室外機(7台、59HP相当)の熱交換部分(フィン)に、夏季のピーク時間帯に散水して冷媒の凝縮圧力を下げ、夏季(7月~9月)の消費電力量と最大需要電力(7kW)の低減を図ることを提案。
提案9
空調設備
スポットエアコン室内機へフィルタの設置
省エネ効果 | 0.3kL/年 |
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削減金額 | 12千円/年 |
設備投資額 | 10千円(回収0.8年) |
設備概要 | 空調設備 |
キーワード
その他(フィルタの設置)
内容
スポットエアコン室内機(45kW×2台、28kW×1台)の吸込み口へ油煙付着防止のフィルタ(不織布)を取付け、熱交換器の目詰りを防止してエアコンの効率低下を防ぎ電力消費量を削減することを提案。
※省エネルギー量は、原油換算で表示しております。